6.甲状腺疾患と妊娠・出産

  • 荒田尚子 Arata, Naoko
    国立研究開発法人国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター母性内科 診療部長
公開日:2023年8月25日
No:a0054/https://doi.org/10.57554/a0054

はじめに

 甲状腺ホルモンは妊娠の成立、胎児の発達や成長、妊娠維持に必須となるホルモンのため、母体甲状腺機能を妊娠早期から管理することは非常に重要な意味を持つ。未治療やコントロールの困難なバセドウ病の甲状腺機能亢進症の場合には、流早産、死産、妊娠高血圧症候群、心不全や甲状腺クリーゼの発症や低出生体重児出産や新生児甲状腺機能異常発症のリスクが一般妊婦に比較して高く、未治療の甲状腺機能低下症も流早産、妊娠高血圧症候群、胎盤早期剥離、低出生体重児、分娩後出血などの原因となる。これらのリスクは、妊娠前から妊娠中に適切な治療を行うことで軽減することが可能となる。また、潜在性甲状腺機能低下症であっても、妊孕性、流産や早産、妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群の発症、さらには児の精神発達への影響の可能性も報告されているが、レボチロキシン治療によってそれらが改善するかどうかは明らかではない。

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