Q&A編はこちら はじめに 脂質異常症は生活習慣病の代表的な疾患である。日常診療で扱う高中性脂肪(triglyceride:TG)血症は糖尿病や生活習慣に起因する続発性のものが多いが、本稿では高TG血症をみた時の鑑別や必要な検査・治療について考えていきたい。
はじめに 慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の中でも、糖尿病関連腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)は糖尿病の主要な合併症の一つであり、進行すると末期腎不全から透析療法を必要とする。また、DKD患者では心血管疾患のリスクも著しく増加するため、腎臓病の進行抑制だけでなく、全身的なリスク管理が求められる。そのため、早期からの包括的な管理が重要であり、医師を中心とした多職種連携のチーム医療の実践が不可欠となる。具体的には、医師による診断と治療方針の決定、看護師による日常生活支援、管理栄養士による食事療法の支援、薬剤師による薬剤管理、さらに理学療法士による運動支援やソーシャルワーカーによる社会的支援の提供などが挙げられる。実臨床でのDKD患者に対する多職種連携チーム医療は、腎機能低下速度を抑制し、透析導入回避期間を延長するだけでなく、患者満足度や生活の質(QOL)の向上にも役立つことが報告されている 1, 2)。しかし、多職種連携にはいくつかの課題も存在する。すなわち慢性的な人手不足や時間的制約、患者の心理的・社会的背景なども多職種連携の実践例にはハードルとなる。本稿では、多職種連携の具体的な実践例を紹介するとともに、それを阻む課題についてさらに詳しく考察し、今後の改善策も考えてみたい。
Q&A編はこちら はじめに 近年、人口の高齢化に伴い、高齢の糖尿病患者は増えている。高齢の糖尿病患者は軽度認知障害や認知症が約1.5倍起こりやすくなる 1)。従って、認知症を伴った高齢者の糖尿病患者も増加している。認知症に至っていなくても認知機能障害があると、糖尿病のセルフケアの食事、運動、内服、注射などのアドヒアランスは低下し、セルフケアを肩代わりする介護者の負担は増加する。 本稿では認知症のある糖尿病患者の療養支援について解説する。
はじめに 糖尿病関連腎臓病(DKD)はわが国の末期腎不全の主たる原因疾患である。近年、腎保護効果を持つ薬剤の登場により、DKDからの末期腎不全への進展抑制が大きく期待できるようになった。これらの背景から『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』そして『糖尿病診療ガイドライン2024』においても、DKDの薬物療法に関して大幅なアップデートがなされている。共通しているのはSGLT2阻害薬を中心に、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬、GLP-1受容体作動薬を併用していくという考え方である。従来から用いられているレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬を加えた、これら4つの薬剤がDKD治療の重要な柱になると考えられる。本稿では、これらの薬剤のクリニカルエビデンスとガイドラインでのポジショニング、今後の展望について述べる。
ポイント 男性性腺機能低下症は原発性(高ゴナドトロピン性)と続発性(低ゴナドトロピン性)がある。 器質的な異常のないLOH症候群が男性更年期障害として徐々に認知されつつある。 男性性腺機能低下症は臨床症状と血中総テストステロン低値から診断されることが多い。 テストステロン補充療法は男性性腺機能低下症に関連した性機能低下などの改善に有効である。 テストステロン補充療法に伴う前立腺癌や心血管疾患のリスク増加に関しては否定的な研究が多い。 日本ではテストステロン製剤は筋注製剤が中心であり、塗布製剤や貼付製剤などより安定した血中濃度が得られる薬剤の承認が求められている。
はじめに 糖尿病性腎症は、2011年に透析患者の主要原疾患の第一位となり、現在維持透析患者の約4割を占めるに至っている。さらに近年、典型的な糖尿病性腎症の臨床経過をたどらない症例を含めた糖尿病関連腎臓病(Diabetic Kidney Disease:DKD)という概念が提唱され話題を呼んでいる。糖尿病性腎症においては、腎症進行を抑制する目的でタンパク質の摂取制限が行われてきた。一方で社会の高齢化とともに、DKDを含む慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)患者におけるサルコペニア・フレイルが注目され、また進展したCKD・DKDでは特徴的な栄養障害であるprotein-energy wasting(PEW)も大きな問題となっている。従って、タンパク質摂取制限が望ましくない症例が増加している可能性がある。そのため、DKDの食事療法としては、腎機能と栄養状態の維持を両立させるためのプローチが求められている。本稿ではDKD進行予防のための食事療法やDKDにおける栄養障害、実際の食事療法の考え方について考える。
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