はじめに われわれ人間が生きるために必要なエネルギーは全て食物から得ている。従って、摂食行動は生命活動の根源である。摂食行動は、体内貯蔵エネルギーが不足することによって作り出される空腹感(hunger)によって引き起こされる。そして、食物摂取によって得られる飽満感(satiation)によりその空腹感が満たされ、結果として摂食行動が終了する。食物摂取によって食物への欲求が満たされると満腹感(satiety)が生じる。満腹感の持続は、空腹感の抑制に働き、次の摂食行動開始までの間隔を作り出す 1)(図1)。食物への欲求→摂食行動は、空腹感だけでなく、食欲(appetite)によっても調節される。食欲は、内部環境因子(快楽的因子、病的要因、特定栄養素に対する欲求など)と外部環境因子(学習による嗜好/嫌悪、心理的因子、社会的因子、生活環境因子など)によって調節され、特定の食物への欲求に作用する。従って、空腹感と食欲は摂食行動を刺激する異なる因子であり、脳の高次機能が発達した人間においては摂食調節における食欲の関与は大きい。
ポイント SGLT2阻害薬は、血糖改善作用に加えた、additional benefitを期待し得る薬剤である。 心血管疾患・心不全・CKDのイベント発症リスクを低減させることが知られる。 適応拡大される中で、使用する個々人の特性に配慮した適正使用が求められる。
Q&A編はこちら はじめに 骨粗鬆症治療の目的は骨折を予防することである。骨折は健康寿命のみならず、生命予後を短縮させる。閉経後の原発性骨粗鬆症に加え、原発性副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、2型糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣に関連する疾患が骨粗鬆症の原因となるため、内分泌代謝内科は骨折予防の第一線を担うべき診療科といえる。骨粗鬆症治療薬として、従来から用いられてきた骨吸収抑制薬に加え、骨形成促進薬が使用可能となっている。骨折の危険性が高い骨粗鬆症患者に対しては骨形成促進薬を先行して投与する「アナボリックファースト」により、大幅な骨量増加を目指せる。骨粗鬆症治療を安全に行うために薬剤ごとの注意点を理解する必要がある。本稿では、これから骨粗鬆症治療に関わる方を対象に、治療のエッセンスをまとめた。
Q&A編はこちら はじめに 糖尿病性神経障害は、糖尿病を有する患者に最も高頻度にみられる合併症である。糖尿病性神経障害の自覚症状は多岐にわたり、QOLを損なうだけでなく、足潰瘍および下肢切断、心血管死のリスクを上昇させる。糖尿病を有する患者の増加に伴い、糖尿病性神経障害を有し、足病変や心血管死のリスクが高い患者が増加していくことが考えられる。ほかの合併症と同様、定期的に神経障害の有無や症状を評価し、必要に応じて対症療法やフットケアを行う必要がある。
はじめに 糖尿病患者における最適な食事療法とは、適正なエネルギー量で、栄養バランスがよく、規則正しく食事を摂取することにより、合併症の発症または進展の抑制を図る糖尿病治療である。栄養バランスとしてのエネルギー産生栄養素(3大栄養素)の量(比率)、また量だけではなく質も、血糖管理や合併症の抑制において重要である。本稿では、3大栄養素の量と質を考慮した食事療法について解説する。
はじめに インスリンは血糖恒常性の維持に必須のホルモンであるが、持続する高血糖は膵β細胞からのインスリン分泌不全を惹起する(糖毒性)。糖毒性によるインスリン分泌不全はさらなる高血糖を引き起こすことで一種の悪循環が形成される。高血糖はβ細胞に酸化ストレスやERストレスなどを惹起することでインスリン分泌不全を引き起こすことが知られていたが、近年の研究の結果、糖毒性の背景に膵β細胞の低酸素化という現象が存在していることが明らかになってきた。本稿では、高血糖が膵β細胞に低酸素を惹起するメカニズムおよび低酸素によるインスリン分泌不全機構について概説する。
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