はじめに 私が大学を卒業したのは1985年。今からちょうど40年前です。読者の多くの方は想像が難しいでしょうが、当時はヒトのインスリンが出たばかりで、まだブタやウシのインスリンが出回っており、SMBGも始まったばかりでした。1年先輩の野田光彦先生は「糖尿病は国民病、これからは糖尿病が重要な疾患になる」という言葉を繰り返し話されていました。1970年代から1980年代は、今に繋がる糖尿病学の基礎や臨床の実践の流れが形作られた時期でした。当時のことについて書いてみたいと思います。
はじめに 岡山県は県内に医学部のある大学が2つ(岡山大学、川崎医科大学)あり、医師数は320.1人(人口10万人対)と多いとされているが、地域によって偏在がある。県北には中国山地があり、広域にもかかわらず人口も医師も少ない医療圏である。一方、岡山市や倉敷市がある県南は交通の便もよく、人口や医師も多い医療圏であるが、県民の半数が岡山市に、残りのさらに半数が倉敷市に在住しており、人口あたりの専門医数は県北よりも少ない状況にある。県北、県南いずれの地域事情においても、年々増加している糖尿病や慢性腎臓病(CKD)に罹患した全ての県民を専門医だけでカバーすることは物理的に困難である。そこで岡山県では、2012年から第2次地域医療再生計画において、「糖尿病等生活習慣病医療連携推進事業」が開始された(2016年より「糖尿病医療連携推進事業」に改称)。その体制の下で、糖尿病対策専門会議およびCKD・CVD対策専門会議の独立した2つの会議体が設置されている 1)(図1)。この2つの会議体は、それぞれ行政や医師会、看護協会、薬剤師会や栄養士会などさまざまな団体とともに連携し、糖尿病やCKDの医療連携や普及・啓発活動に取り組んできた。今回は、岡山県における糖尿病やCKDに対する医療連携について紹介したい。
Q&A編はこちら はじめに 脂質異常症は生活習慣病の代表的な疾患である。日常診療で扱う高中性脂肪(triglyceride:TG)血症は糖尿病や生活習慣に起因する続発性のものが多いが、本稿では高TG血症をみた時の鑑別や必要な検査・治療について考えていきたい。
はじめに 慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の中でも、糖尿病関連腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)は糖尿病の主要な合併症の一つであり、進行すると末期腎不全から透析療法を必要とする。また、DKD患者では心血管疾患のリスクも著しく増加するため、腎臓病の進行抑制だけでなく、全身的なリスク管理が求められる。そのため、早期からの包括的な管理が重要であり、医師を中心とした多職種連携のチーム医療の実践が不可欠となる。具体的には、医師による診断と治療方針の決定、看護師による日常生活支援、管理栄養士による食事療法の支援、薬剤師による薬剤管理、さらに理学療法士による運動支援やソーシャルワーカーによる社会的支援の提供などが挙げられる。実臨床でのDKD患者に対する多職種連携チーム医療は、腎機能低下速度を抑制し、透析導入回避期間を延長するだけでなく、患者満足度や生活の質(QOL)の向上にも役立つことが報告されている 1, 2)。しかし、多職種連携にはいくつかの課題も存在する。すなわち慢性的な人手不足や時間的制約、患者の心理的・社会的背景なども多職種連携の実践例にはハードルとなる。本稿では、多職種連携の具体的な実践例を紹介するとともに、それを阻む課題についてさらに詳しく考察し、今後の改善策も考えてみたい。
Q&A編はこちら はじめに 近年、人口の高齢化に伴い、高齢の糖尿病患者は増えている。高齢の糖尿病患者は軽度認知障害や認知症が約1.5倍起こりやすくなる 1)。従って、認知症を伴った高齢者の糖尿病患者も増加している。認知症に至っていなくても認知機能障害があると、糖尿病のセルフケアの食事、運動、内服、注射などのアドヒアランスは低下し、セルフケアを肩代わりする介護者の負担は増加する。 本稿では認知症のある糖尿病患者の療養支援について解説する。
はじめに 糖尿病関連腎臓病(DKD)はわが国の末期腎不全の主たる原因疾患である。近年、腎保護効果を持つ薬剤の登場により、DKDからの末期腎不全への進展抑制が大きく期待できるようになった。これらの背景から『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』そして『糖尿病診療ガイドライン2024』においても、DKDの薬物療法に関して大幅なアップデートがなされている。共通しているのはSGLT2阻害薬を中心に、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬、GLP-1受容体作動薬を併用していくという考え方である。従来から用いられているレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬を加えた、これら4つの薬剤がDKD治療の重要な柱になると考えられる。本稿では、これらの薬剤のクリニカルエビデンスとガイドラインでのポジショニング、今後の展望について述べる。
当サイトは、糖尿病・内分泌領域において医師・医療スタッフを対象に、臨床に直結した医療情報を提供する電子ジャーナルです。
該当する職種をクリックして中へお進みください。