持続血糖測定(CGM)システムの最新エビデンス

  • 宮﨑裕也 Miyazaki, Yuya
    神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学部門
    齋藤修一郎 Saito, Shuichiro
    神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学部門
    山本あかね Yamamoto, Akane
    神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学部門
    廣田勇士 Hirota, Yushi
    神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学部門 准教授
公開日:2025年5月20日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(3): 0039./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(3): 0039.
https://doi.org/10.57554/2025-0039

ポイント

  • 持続血糖測定(CGM)を使用することで、24時間の血糖推移を可視化することができるようになった。
  • CGM指標としてTIR(time in range)、TAR(time above range)、TBR(time below range) という概念が広まり、HbA1cだけでなくこれらCGM指標の目標値が定められている。
  • CGMには大別して、プロフェッショナルCGM、間歇スキャン式CGM、リアルタイムCGMと3つの種類がある。
  • スマートウォッチ型CGMは米国食品医薬品局(FDA)や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に承認された製品はなく、用いるべきではない。

1.総論

1)CGMとは

 糖尿病診療において、日々の血糖推移を把握することは、低血糖の予防、患者本人の治療意識の向上などの点から非常に有用である。血糖マネジメントの指標として、長年HbA1cが用いられてきたが、長期にわたる血糖管理状況を反映する指標であるため、日々の血糖値の変動を必ずしも反映しない。また、日々の血糖管理状況の把握のため血糖自己測定(SMBG)が広く用いられてきたが、いわゆる“点”の評価となるため、得られる情報は限られたものとなる。CGMの登場により、“線”での血糖推移の把握が可能になったことで、見逃されていた低血糖など多くの情報が得られるようになり、糖尿病診療は大きく飛躍したといえる。米国糖尿病学会(ADA)の『Standards of care in Diabetes-2025』においても「Diabetes devices should be offered to people with diabetes.(糖尿病デバイスは糖尿病を持つ人に勧めるべきである。)」 1)とデバイスの使用が推奨されており、糖尿病診療に携わるものとして、CGMの仕組みや機能について把握しておく必要がある。
 CGMは皮下組織に留置したセンサーを用いて間質液中のグルコース濃度を連続して測定している。従って、血糖推移のトレンドを把握することが可能となるが、血糖を直接測定しているものではないことには留意が必要である。そのため、急激な血糖変動がある場合などは、CGMの測定値であるセンサグルコース値とSMBGでの測定値が乖離することがあり、必要に応じてSMBGで血糖値を確認する必要があることをあらかじめ伝えておくことも重要である。

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