1.若年発症成人型糖尿病(MODY)

  • 髙橋佳大 Takahashi, Yoshihiro
    岐阜大学医学部附属病院 糖尿病代謝内科/免疫・内分泌内科 臨床講師
    堀川幸男 Horikawa, Yukio
    岐阜大学医学部附属病院 糖尿病代謝内科/免疫・内分泌内科 臨床教授
公開日:2025年7月10日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(4): 0050./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(4): 0050.
https://doi.org/10.57554/2025-0050

はじめに

 若年発症成人型糖尿病(maturity-onset diabetes of the young:MODY)は単一遺伝子異常による糖尿病であり、糖尿病全体の0.1~0.2%程度を占めると考えられている。常染色体顕性遺伝形式をとり、若年発症、非肥満、およびインスリン分泌能低下を特徴とする 1)。MODYはそれぞれ若年発症の糖尿病という共通点をもつことに加え、独自の表現型を呈することが知られている。本稿ではわが国で遭遇する頻度が高いMODYについて、表現型および治療方針について概説する。

1.MODYの定義

 従来、典型的なMODYは25歳以下で発症し、3世代以上にわたる糖尿病の家族歴を有するものと定義されてきた 2)。しかし近年では、20歳代以降に診断される例や孤発例の報告が蓄積されたことで、スクリーニング基準の検討が求められている。われわれもこれまでに新たなスクリーニング基準を提案した(表1 3)。現在までにMODYの原因遺伝子は14種類が同定されているが、本邦で特に頻度が高いのはMODY1(HNF4A-MODY)、MODY2(GCK-MODY)、MODY3(HNF1A-MODY)、およびMODY5(HNF1B-MODY)である(表2)。またMODY関連遺伝子は相互に関連しており、表現型にも影響を及ぼすことが知られている(図1)。

表1 新たなスクリーニング基準文献3より)
表1 新たなスクリーニング基準
孤発例もあるため、必須の情報ではない。
表2 MODYの臨床像の特徴
表2 MODYの臨床像の特徴
図1 MODY関連遺伝子の相関図
図1 MODY関連遺伝子の相関図

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