糖尿病網膜症などで視力障害のある患者およびその家族に対する療養支援の留意点
公開日:2025年7月31日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(4): 0060./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(4): 0060.https://doi.org/10.57554/2025-0060
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はじめに
糖尿病患者を介した眼科医と内科医などで連携する手帳が、2種存在する。1つ目は日本糖尿病協会による「糖尿病連携手帳」である。ホームページによると、年間発行部数は約200万部、累計約2,000万部の発行実績である 1)。一方は、日本糖尿病眼学会による「糖尿病眼手帳」である。2020年3月末時点で280万部以上が発行 2)とのことで、眼科医の筆者としても、臨床上の実感に合致する。今回、2種の手帳の記載項目を比較し、視力障害の療養支援、特に歩行、生活訓練の観点から検討してみる。
1.糖尿病連携手帳
糖尿病連携手帳(図1)にしかない項目が「光凝固:未・済」である。実はこれが、注目すべき項目で求心性視野障害が想起される。増殖網膜症患者で汎網膜光凝固術が施行された場合に、中心10度程度の求心性視野障害を合併することがある。ただし、増殖網膜症でない(単純、増殖前網膜症)の場合には、汎網膜でなく、局所網膜での光凝固術であることが多く、視野障害は生じにくい。増殖網膜症で光凝固済のケースでは、求心性視野狭窄による歩行障害を確認する必要がある。
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