神経内分泌腫瘍の最新エビデンス

  • 盛田幸司 Morita, Koji
    帝京大学医学部 内分泌代謝・糖尿病内科 病院教授
公開日:2025年9月25日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(5): 0075./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(5): 0075.
https://doi.org/10.57554/2025-0075

ポイント

  • GEP-NENの病理学的分類では、組織学的な分化度と増殖能の面からNET G1, G2, G3, NECに分類する。
  • 膵NENの約6%で、MEN1遺伝子の生殖細胞系列変異が確認される。消化管NENでは、十二指腸原発のガストリノーマの場合はMEN1型を積極的に疑う。
  • NENの画像診断において、欧米など諸外国での先進的施設ではSPECT/CT検査であるSRSに替わり、68Ga-DOTATOCなどのPET/CT検査が広がってきている。
  • GEP-NENへのCAPTEM療法、GEP-NECへのEP療法やIP療法、ソマトスタチン受容体陽性のNETへの177Lu-DOTA-TATEを用いたPRRTなど、近年治療法にはさまざまな進歩がみられる。
  • 希少疾患であるGEP-NENにおいて、診療の集約化による質の担保とエビデンス創出、海外で有用とされる検査や医薬品の迅速な国内導入を図る施策が重要となる。

1.総論

 神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine Neoplasm:NEN)は神経内分泌細胞から発生し、ペプチドホルモンなどを産生・分泌する能力をもつ腫瘍で、比較的頻度の低い疾患ではあるが、消化管や肺・気管支、膵臓など多くの臓器で発症し得る。本稿では、膵・消化管のNENに焦点をあてて論じる。
 本邦では、日本神経内分泌腫瘍研究会(Japan Neuroendocrine Tumor Society:JNETS)が2016年に開始された全国がん登録のデータを用いて、胃腸膵におけるNEN(Gastro-Entero-Pancreatic Neuroendocrine Neoplasms:GEP-NEN)の部位別発症率や年齢分布などを調査しており、人口10万人あたりの年間新規発症率は膵NENで0.70人、消化管NENで2.84人であった 1)。消化管の中では直腸が最も多く(1.82人)、胃がその次に多い(0.48人)1)図1)。初回診断時の年齢の中央値は60~65歳で(図1)、十二指腸、虫垂、直腸のNENはほとんどが局所転移にとどまっていたが、食道、胃、結腸のNENは遠隔転移を示す傾向が強かった 1)

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