インクレチン(GLP-1・GIP/GLP-1)受容体作動薬の最新エビデンス
公開日:2025年1月15日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(1): 0008./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(1): 0008.
https://doi.org/10.57554/2025-0008
https://doi.org/10.57554/2025-0008
ポイント
- インクレチン(GLP-1・GIP/GLP-1)受容体作動薬には注射薬と経口薬がある。
- セマグルチドには2型糖尿病治療薬と肥満症治療薬がある。
- チルゼパチドはGIP/GLP-1受容体作動薬であり、GLP-1受容体作動薬とは異なる。
- 各剤の評価のポイントは血糖降下作用、体重への影響、心血管イベントや腎イベント抑制など。
はじめに
日本で初めてGLP-1受容体作動薬のリラグルチドが発売されたのは2010年である。その後、エキセナチド(バイエッタ、ビデュリオン)、リキシセナチド(リキスミア)、デュラグルチド(トルリシティ)、セマグルチド注射薬(オゼンピック、ウゴービ)と経口セマグルチド(リベルサス)と開発が進むにつれ、注射投与間隔が毎日から週一回に延び、経口薬の選択肢も出てきて投与のハードルが下がった。また、注射薬の投与デバイスの開発も並列して進み、よりいっそう使いやすいデバイスになった。もはや糖尿病の注射治療といえばインスリン、という時代ではない。
GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬(以下、合わせてインクレチン受容体作動薬)の血糖降下作用は既存の経口糖尿病治療薬を上回り、SU薬、グリニド薬やインスリンと併用しない限りは重篤な低血糖を起こさない、という作用機序であることから糖尿病を専門としない医師からの処方も増やすことになった。
GLP-1受容体作動薬セマグルチドは2型糖尿病治療(オゼンピック)のみならず、肥満症の治療薬(ウゴービ)としても承認された。そして2型糖尿病や肥満症において大血管症や腎疾患、肝疾患に対する効果に関するエビデンスも出つつある 1~9)。
ここでは日本で多く使用されているGLP-1受容体作動薬セマグルチド、デュラグルチドと、GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(表1)を中心に最新エビデンスを交えながら解説する。

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