SGLT2阻害薬の最新エビデンス

  • 南野寛人 Minamino, Hiroto
    京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学
    藤田義人 Fujita, Yoshihito
    京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 講師
    矢部大介 Yabe, Daisuke
    京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 教授
公開日:2024年12月3日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(6): 0086./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(6): 0086.
https://doi.org/10.57554/2024-0086

ポイント

  • SGLT2阻害薬は、血糖改善作用に加えた、additional benefitを期待し得る薬剤である。
  • 心血管疾患・心不全・CKDのイベント発症リスクを低減させることが知られる。
  • 適応拡大される中で、使用する個々人の特性に配慮した適正使用が求められる。

はじめに

 SGLT2(sodium-glucose cotransporter 2)阻害薬は、リンゴの樹皮に含まれるフロリジンから開発された薬剤で、腎臓の近位尿細管における糖の再吸収を阻害することで尿糖排泄を増加させ、インスリンに依存しない血糖改善作用をもたらす。さまざまな大規模研究の結果、SGLT2阻害薬が単なる血糖改善作用のみならず、心血管疾患、慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や心不全のリスクを低減することが明らかとなり、現在、適応が拡大された薬剤によっては糖尿病の有無にかかわらず使用されるようになり、その使用割合は年々増加している。additional benefitが期待できる一方、開始初期の脱水や性器・尿路感染症などの有害事象を考慮する必要があり、さらに尿糖排泄亢進に伴う体重減少は高齢者においてサルコペニア・フレイルを悪化させる可能性があり、使用する個々人の特性に基づいた適正使用が求められる 1, 2)
 本稿では、本邦において広く使用されている、SGLT2阻害薬の心血管疾患・心不全・CKDにおける有効性に関するエビデンスを概説し、次に使用の際に留意すべき点、特に併存症の多い高齢者への使用において注意すべき点について論じたい。

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