自律神経系とそれを対象とする薬理活性

  • 内田さえ Uchida, Sae
    東京都健康長寿医療センター研究所 自律神経機能研究室 研究副部長
公開日:2025年9月18日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(5): 0074./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(5): 0074.
https://doi.org/10.57554/2025-0074

はじめに

 食事を摂ると唾液分泌や胃腸運動が活発になる。急に起き上がっても血圧はすぐ調節されて正常範囲に保たれる。これらの反応は全て無意識に行われる自律神経系の働きである。そのため、自律神経系は植物神経系あるいは不随意神経系ともいわれる。一方、人前で話す前には緊張して鼓動が高まる。心を落ち着かせると高まる鼓動も抑えられる。このように自律神経系は生体の恒常性の維持に重要な役割を担うだけでなく、意識や感情の影響も受ける。本稿では、自律神経系の基礎的事項を概説し、それを対象とする薬理活性について、特に循環系と泌尿器系を取り上げて説明する。

1.自律神経系の概要

 生体にとって最も基本的な機能である循環、呼吸、消化、代謝、分泌、体温維持、排泄、生殖などを自律機能という。自律神経系は平滑筋、心筋、および腺を支配し、各種の自律機能を協調的に調節することにより、生体の恒常性(ホメオスタシス)の維持に重要な役割を担う 1~4)
 自律神経系は、内臓の感覚受容器からの情報を中枢神経系に伝える求心性神経(内臓の情報を伝えるので内臓求心性線維という)と、中枢神経系の指令を内臓器官に伝える遠心性神経よりなる。遠心性神経は交感神経と副交感神経に分けられる。

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