5.低ナトリウム血症

  • 藤沢治樹 Fujisawa, Haruki
    藤田医科大学 医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科学 講師
    椙村益久 Sugimura, Yoshihisa
    藤田医科大学 医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科学 教授
公開日:2025年6月20日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(3): 0036./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(3): 0036.
https://doi.org/10.57554/2025-0036

はじめに

 水バランスは、口渇による水分摂取とバソプレシン(arginine vasopressin:AVP)の作用による腎臓における水の再吸収で調節されている。水バランスの破綻が、血清ナトリウム(Na)濃度の異常となって現れる。血清Na濃度135mEq/L未満の病態が低Na血症 1)と定義される。

1.水バランスの調節

 血清Na濃度すなわち浸透圧が上昇すると、①下垂体後葉からAVPが分泌され、腎集合管で水の再吸収が促進される、②口渇感が生じ水分摂取が促される、という2つの調節機構により血漿浸透圧は低下するように調節される 2)。血漿浸透圧が低下した場合(血清Na濃度は低下)はその逆が生じる。これらの調節機構により、日々の塩分や水の摂取量が変化しても血漿浸透圧は1~2%の変動に抑えられる。
 AVPの分泌は、非浸透圧性の刺激、すなわち循環血漿量の低下によっても促進される。この非浸透圧性の刺激は、有効循環血漿量が15%以上減少すると活性化されるが 3)、この刺激は浸透圧性の刺激より強く、浸透圧が低い状況においてもAVPの分泌は促進され得る。これは、浸透圧調節よりも有効循環血漿量を維持することのほうが重要であるためと考えられ、一部の低Na血症の病態の発症に関与している。

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