糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬)

  • 財部大輔 Takarabe, Daisuke
    南一色セントラル内科 院長
公開日:2023年10月12日

はじめに

 糖尿病治療の目標は「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL」である 1)。いずれの糖尿病治療薬にしても、血糖コントロールを改善することが第一の目的であることが多いが、最近はadditional benefitsとして合併症の抑制なども考慮して薬剤を選択することもある 2)。しかし血糖コントロールや合併症の指標が改善しても、副作用や社会・経済的な負担が大きければQOLが低下し、糖尿病治療の目標と逆行することにもなり得る。 近年、新しいクラスの糖尿病治療薬が次々と登場し、それらの選択の幅が大きく広がったことにより、一人一人の患者に適した治療がますます求められるようになっている。そのためには薬剤のメリットだけでなくデメリットも十分に考慮して、目の前の患者にとって最適な治療薬の選択をすることが望ましい。本稿では経口糖尿病薬を選択する際(投与前)、あるいは経過のフォローアップ中(投与後)に最低限注意するポイントについて解説する。

1.総論

 2023年6月現在、わが国では9クラスの経口糖尿病治療薬が使用可能である(表1)。それぞれの薬剤を初めて投与する際は、薬剤の特徴や内服方法についての説明のほか、事前に予想される副作用についても患者に十分説明しておくことが望ましい。以下にすべての経口糖尿病治療薬に共通して注意するポイントを挙げる。

表1 わが国で使用可能な経口糖尿病治療薬(日本糖尿病学会編・著: 糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂, 東京, 2022, p.40-41.より)
表1 わが国で使用可能な経口糖尿病治療薬(日本糖尿病学会編・著: 糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂, 東京, 2022, p.40-41.より)

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