高中性脂肪血症の診断と治療
公開日:2025年4月15日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(2): 0027./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(2): 0027.
https://doi.org/10.57554/2025-0027
https://doi.org/10.57554/2025-0027
はじめに
脂質異常症は生活習慣病の代表的な疾患である。日常診療で扱う高中性脂肪(triglyceride:TG)血症は糖尿病や生活習慣に起因する続発性のものが多いが、本稿では高TG血症をみた時の鑑別や必要な検査・治療について考えていきたい。
1.中性脂肪とは
中性脂肪とは、グリセロールに脂肪酸が3個エステル結合したトリアシルグリセロールを指す。そもそも脂質は種々のアポ蛋白とともにリポ蛋白という複合体を形成している。疎水性の強いコレステロールやTGが中心部に存在し、親水性の遊離コレステロールやリン脂質が表面を取り囲むことでリポ蛋白は血液中に存在できる。リポ蛋白は比重により以下に分類される。
- カイロミクロン(chylomicron:CM)
- 超低比重リポ蛋白(very low-density lipoprotein:VLDL)
- 中間比重リポ蛋白(intermediate-density lipoprotein:IDL)
- 低比重リポ蛋白(low-density lipoprotein:LDL)
- 高比重リポ蛋白(high-density lipoprotein:HDL)
CMから順に粒子サイズが小さく、比重は大きくなる。またTGの含有量は少なくなる。特にTG含有量が多いのがCMとVLDL、またそれらの代謝産物であるレムナント(CMレムナント、VLDLレムナント)である。血液検査のTGはこれらのリポ蛋白やその代謝産物に含まれるTGの総和を測定しており、高TG血症ではこれらが増加していることを意味している。
TGを含むリポ蛋白の代謝経路には大きく分けて2つある。代謝経路について図1に示す 1)。