糖尿病合併妊娠・妊娠糖尿病の管理
公開日:2025年2月18日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(1): 0011./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(1): 0011.
https://doi.org/10.57554/2025-0011
https://doi.org/10.57554/2025-0011
1.糖代謝異常妊娠の定義
妊娠中の糖代謝異常は、①妊娠糖尿病、②妊娠中の明らかな糖尿病、③糖尿病合併妊娠に分類される。また糖尿病合併妊娠は、①妊娠前にすでに診断されている糖尿病、②確実な糖尿病網膜症があるものに分けられる(表1)。
妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)は妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない軽い糖代謝異常であり、現在の定義と診断基準は、The International Association of the Diabetes and Pregnancy Study Groups(IADPSG)が The Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome(HAPO) Study 1)をもとに、世界統一の妊娠糖尿病診断基準を提唱したのち 2)、わが国でも2010年7月から取り入れられた。2015年8月に、日本糖尿病学会の診断基準と日本産科婦人科学会、日本糖尿病・妊娠学会の診断基準の一部不一致を統一し、現在の診断基準に至っている 3)。

2.糖尿病合併妊娠について
糖代謝異常合併妊婦は正常妊婦と比べて周産期合併症のリスクが高いため、妊娠前からの厳重な血糖管理を行い、計画的な妊娠が必要である。妊娠中には週数に応じた急激な変化に合わせて厳格に血糖管理をしていく必要がある。本項では妊娠前のプレコンセプションケアから糖代謝異常合併妊娠の周産期の管理、そして産後の管理についても触れたい。