高中性脂肪血症の診断と治療Q&A
公開日:2025年4月15日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(2): 0028./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(2): 0028.
https://doi.org/10.57554/2025-0028
https://doi.org/10.57554/2025-0028
糖尿病に合併する高中性脂肪血症の特徴や治療方針について教えてください。
2型糖尿病においてはインスリン抵抗性により脂質異常症が惹起されると考えられています 1, 2)。脂肪組織における脂肪の分解は主にホルモン感受性リパーゼ(hormone sensitive lipase:HSL)によって制御され、インスリンはHSLの活性を抑制します。インスリン抵抗性によりHSLの活性が亢進し、脂肪組織のTGを分解し、脂肪酸とグリセロールが生成されます。すると血中の遊離脂肪酸が増加して肝臓に流入し、VLDLの合成が亢進します。またVLDLやカイロミクロン(chylomicron:CM)に含まれるTGはLPLによって加水分解を受けますが、インスリン抵抗性によりLPLの作用が低下しTGが豊富なリポ蛋白の代謝障害が起きます。その結果、CMレムナントやVLDLレムナントが増加します。これらの増加に伴って血液検査でのTGは増加します。また、HDLの主要構成蛋白であるアポA-Ⅰの産生が低下することでHDLが低下します。TGが豊富なVLDLが増加するとCETPによってVLDL中のTGとLDL中のCEが交換され、TGが豊富なLDLとなります。LDLのTGはインスリン抵抗性により活性化されたHSLによってすぐに分解され、粒子径の小さく比重の重いsmall dense LDLとなります。レムナントもsmall dense LDLも動脈硬化を惹起しやすいとされています。