副腎腫瘍をみたらどうするかQ&A

  • 北村雄哉 Kitamura, Yuya
    九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学
    馬越真希 Umakoshi, Maki
    九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 助教
公開日:2025年6月10日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(3): 0043./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(3): 0043.
https://doi.org/10.57554/2025-0043

2cm大の左副腎腫瘍で3年前から経過観察中、高血圧症と2型糖尿病を合併しています。定期CT検査で副腎腫瘍の増大傾向を認めました。今後どのようにマネジメントしたらよいですか。

 まず画像検査で腫瘍の質的評価を行います。単純CTでCT値が10HU未満であれば皮質腺腫と考えられます。CT値が10HUを超えていたり、内部不均一な場合はMRIを撮像します。MRIのケミカルシフトイメージングでout of phase(逆位相)における信号低下があれば、脂肪を含有していると考えられるため皮質腺腫が疑われます。ここで鑑別がつかず、後述の内分泌機能のスクリーニングで褐色細胞腫が疑わしくない場合には造影CTを検討します。可能であれば造影後10~15分後の遅延相を撮像し、早期ウォッシュアウトがあれば皮質腺腫が疑われます。次に腫瘍径ですが、本症例は2cm大なので、これ自体で悪性腫瘍を疑う大きさではありません。ただし増大傾向なので悪性腫瘍の可能性を否定できません。増大の程度にもよりますが、どの程度増大したら手術を勧めるかというカットオフ値も存在しません。画像上、典型的な皮質腺腫の所見で増大の程度がわずかであり、後述の内分泌機能のスクリーニングでも異常を認めないのであれば経過観察も選択肢かと思います。皮質腺腫であるかはっきりしない場合は手術を検討してよいでしょう。

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