二次性高血圧の鑑別

  • 小林洋輝 Kobayashi, Hiroki
    日本大学医学部 内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野 助教
公開日:2023年8月8日

はじめに

 二次性高血圧は特定の原因による高血圧であり、本態性高血圧とは病態や治療方針が全く異なるため適切に診断することが極めて重要である。二次性高血圧の有病率は以前考えられていたよりも高く、少なく見積もっても高血圧全体の10%以上が二次性高血圧であるとされる 1, 2)。特に原発性アルドステロン症は近年診断数が増加しており、高血圧患者の5~10%前後との報告もあるため念頭に置く必要がある。本稿ではどのような症例で二次性高血圧を疑うかについて、自験例を提示しながら解説する。また、近年新しくなった原発性アルドステロン症のスクリーニング、診断方法についても概説する。

1.症例

【現病歴】
35歳女性。30歳時に高血圧を指摘され、以降アムロジピンベシル酸塩 10mg/日による治療を開始した。35歳時に人間ドックの腹部単純CT検査で左副腎偶発腫(18mmの低吸収結節)を指摘されて当院を紹介受診し、高血圧の精査目的で入院となった。
【既往歴】
30歳時に高血圧(二次性高血圧の精査は未施行)
【内服歴】
アムロジピンベシル酸塩 10mg/日
【家族歴】
特になし
【生活社会歴】
飲酒、喫煙なし、運動習慣なし、いびきなし、日中の眠気なし、体重変化なし
【入院時検査所見】
身長 153cm、体重 62kg(BMI 26.5)、診察室血圧 136/78mmHg(アムロジピンベシル酸塩 10mg内服下)、明らかなクッシング徴候を認めない。甲状腺腫大なし。胸部聴診上、呼吸音、心音ともに異常なし。腹部は平坦、軟で圧痛なし。腹部血管雑音なし。下腿浮腫は認めない。
血液検査所見(午前9時に採取):血算に異常なし、低K血症なし、耐糖能異常なし、血漿アルドステロン濃度(PAC〔CLEIA法〕) 207pg/mL、血漿レニン活性(PRA) 0.5ng/mL/hr、PAC/PRA(ARR) 414、ACTH 7.5pg/mL、コルチゾール 16.0μg/dL、血中カテコラミン正常、随時尿中メタネフリン・ノルメタネフリン正常

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