2.甲状腺機能検査を知る

  • 山田早耶香 Yamada, Sayaka
    群馬大学大学院 内分泌代謝内科学/Rutgers Robert Wood Johnson Medical School
    堀口和彦 Horiguchi, Kazuhiko
    群馬大学大学院 内分泌代謝内科学 講師
    山田正信 Yamada, Masanobu
    群馬大学大学院 内分泌代謝内科学/一般社団法人日本甲状腺協会 理事長
公開日:2023年7月20日

はじめに

 甲状腺機能検査は、主に血清のTSH値と血清甲状腺ホルモン値、特に遊離T4(FT4)値によって評価される。病態によっては、遊離T3(FT3)値も有用な場合がある。血清TSH値や血清甲状腺ホルモン値の測定にはさまざまなキットが使用され、そのキットごとに使用する測定機器も異なる。それぞれのキットには特性があり、また種々の因子が測定値に影響を及ぼす。本稿では、主に最近の筆者らの研究から得られた結果をもとに、これらの因子について概説する。

1.甲状腺機能の評価法と疾患の診断基準

 甲状腺機能の評価は通常、血清TSH値とFT4値によって決定される(図1)。基本的には、両者が共に基準値範囲内であれば甲状腺機能正常、血清TSH値低値・FT4値高値であれば顕性甲状腺亢進症(中毒症)、一方、血清TSH値高値・FT4値低値であれば顕性甲状腺機能低下症と判断する。
 また、血清TSH値は測定系が高感度であるため、血清FT4値よりも鋭敏に甲状腺機能を反映し、血清FT4値が基準値内でありながら血清TSH値のみが異常値を示す病態の潜在性甲状腺機能異常症が診断される。血清FT4値が基準値内で血清TSH値のみ上昇した状態を潜在性甲状腺機能低下症、逆に血清TSH値のみが低下した病態を潜在性甲状腺機能亢進症(中毒症)と診断する。

図1 甲状腺機能評価と疾患(筆者ら作成)
図1 甲状腺機能評価と疾患(筆者ら作成)

このコンテンツは糖尿病・内分泌プラクティスWebをご購読後にお読みいただけます。

明日の臨床に役立つ時宜を捉えたテーマについて、内分泌代謝・糖尿病内科領域のエキスパートが解説。
毎週論文が更新され、いつでも “オンライン” で日常診療に役立つ情報をアップデートできます。

最新のアップデートに加え、これまでの掲載してきた100論文以上を読み放題です。
この機会に読みたかった論文に加え、気になる特集やセミナーを見つけてください。

■特 集(https://practice.dm-rg.net/main
内分泌代謝・糖尿病内科領域から押さえておきたい選りすぐりのテーマを、エキスパートが徹底解説。

■セミナー( https://practice.dm-rg.net/special
セミナー基礎医学から臨床に役立つ実践的な内容まで、多種多様なコーナーが学びをサポート。

■連 載(https://practice.dm-rg.net/series
独自の切り口と多彩な情報が満載、知的好奇心を刺激する連載。

甲状腺疾患の診かた ―内科医が知っておきたい勘どころ― 一覧へ 『1巻4号(2023年 7・8月号)』(発行号ページ)へ

セミナー

連載