6.岡山県における糖尿病性腎症/糖尿病性腎臓病重症化予防に向けた取り組み ―腎症重症化予防に対する2つの医療ネットワーク―
公開日:2025年4月21日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(2): 0022./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(2): 0022.
https://doi.org/10.57554/2025-0022
https://doi.org/10.57554/2025-0022
はじめに
岡山県は県内に医学部のある大学が2つ(岡山大学、川崎医科大学)あり、医師数は320.1人(人口10万人対)と多いとされているが、地域によって偏在がある。県北には中国山地があり、広域にもかかわらず人口も医師も少ない医療圏である。一方、岡山市や倉敷市がある県南は交通の便もよく、人口や医師も多い医療圏であるが、県民の半数が岡山市に、残りのさらに半数が倉敷市に在住しており、人口あたりの専門医数は県北よりも少ない状況にある。県北、県南いずれの地域事情においても、年々増加している糖尿病や慢性腎臓病(CKD)に罹患した全ての県民を専門医だけでカバーすることは物理的に困難である。そこで岡山県では、2012年から第2次地域医療再生計画において、「糖尿病等生活習慣病医療連携推進事業」が開始された(2016年より「糖尿病医療連携推進事業」に改称)。その体制の下で、糖尿病対策専門会議およびCKD・CVD対策専門会議の独立した2つの会議体が設置されている 1)(図1)。この2つの会議体は、それぞれ行政や医師会、看護協会、薬剤師会や栄養士会などさまざまな団体とともに連携し、糖尿病やCKDの医療連携や普及・啓発活動に取り組んできた。今回は、岡山県における糖尿病やCKDに対する医療連携について紹介したい。