(扉)特集にあたって
https://doi.org/10.57554/2026-0065
骨粗鬆症は、高齢化が進むわが国において、健康寿命の延伸や要介護予防を考える上で極めて重要な疾患である。骨折は、とりわけ高齢者のADLやQOLを著しく低下させるだけでなく、フレイルやロコモティブシンドロームの進行、さらには生命予後にも影響を及ぼすことが明らかとなってきている。そのため、骨折を未然に防ぐための適切な診断、治療、そして継続的な管理の重要性はますます高まっている。
この度、わが国の骨粗鬆症に関する指針が、『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』として約10年ぶりに改訂された。この間、骨質評価技術や薬物療法は大きく進歩し、生活習慣病関連骨粗鬆症への理解も深まってきた。また、骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)や骨折リエゾンサービス(FLS)をはじめとする多職種連携の重要性が広く認識され、骨粗鬆症診療は「治療」のみならず、「予防」「継続的管理」「地域連携」を含めた包括的な医療へと発展してきている。
本特集では、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025」―10年ぶりに改訂のポイントは―と題して、2025年版ガイドラインの改訂ポイントを中心に、最新の知見を第一線で活躍されているエキスパートの先生方にわかりやすく解説いただいた。その中では、ロコモティブシンドローム・フレイルと骨粗鬆症の関連性、骨粗鬆症の診断や骨評価法、骨粗鬆症の治療目標や治療戦略について新たな考え方を紹介いただいた。さらに、2型糖尿病や慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など生活習慣病関連骨粗鬆症への対応、最新の薬物療法とその適正な継続・変更・休薬の考え方についても詳述いただいた。加えて、医療スタッフに向けて、OLSや骨粗鬆症マネージャーの役割、そして今後の骨粗鬆症検診の方向性についても取り上げていただいた。
本特集が、医師のみならず、多職種で骨粗鬆症診療に携わる医療従事者の皆様にとって、ガイドライン改訂の意義を理解し、日常診療や地域医療の実践に役立つ一助となれば幸いである。ひいては、骨折予防を通じて健康寿命の延伸と高齢者のQOLの向上につながることを願っている。
著者のCOI(conflicts of interest)開示:⽵内靖博;講演料(協和キリン、アムジェン、帝⼈ファーマ)、小川純人;講演料(第一三共、ツムラ、エーザイ)、研究費・助成金(ツムラ)