糖尿病診療におけるコミュニケーションスキル
公開日:2026年8月20日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2026; 4(4): 0060./J Pract Diabetes Endocrinol. 2026; 4(4): 0060.
https://doi.org/10.57554/2026-0060
https://doi.org/10.57554/2026-0060
はじめに
糖尿病診療におけるコミュニケーションは、主に糖尿病のある人への関わりと糖尿病チーム内での関わりの2つに分けて考えると理解しやすいだろう。両者は対象こそ異なるが、「聴く」「伝える」といった基本スキルや、相手を尊重し協働する姿勢といったマインドなど、多くの共通点がある。また、動機付け面接(Motivational Interviewing:MI)やコーチングといったスキルの習得も有益であり、これらは共通する方向性を持つため、いずれからでも学びやすいだろう。さらに、心理的ケアの重要性を理解し、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)的な視点などの心理的アプローチを取り入れることで、治療が難渋する状況やコミュニケーションの改善が期待される。本稿では、糖尿病のある人への具体的な関わり方や、糖尿病チーム内で効果を上げた取り組み例を交えながら情報を共有する。なお、本領域は評価が難しく、エビデンスは蓄積途上である点に留意が必要である。
1.糖尿病診療におけるコミュニケーション
1)これまでのコミュニケーション
従来の糖尿病診療では、医療者が一方的に生活習慣の変更を指示したり、合併症リスクを強調して行動変容を促す関わりが行われてきた。しかし、糖尿病のある人は「わかっていてもできない」状況にあることが多く、知識の提供だけでは行動変容につながりにくいことが指摘されている 1)。また、恐怖を強調する説明はスティグマや抑うつを強め 2)、画一的な指導や傾聴の不足は不満や不信感を招き、さらに、治療意欲の低下や関係性の悪化を招くとされている。