4.生活習慣病関連骨粗鬆症
https://doi.org/10.57554/2026-0069
はじめに
生活習慣病と骨粗鬆症はいずれも加齢に伴い増加するが、単なる併存疾患ではなく、2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus:2DM)や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)などの生活習慣病が骨に影響を及ぼし、骨粗鬆症をきたすことを示す多くのエビデンスが集積されている 1)。よって、『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』においても前版と同様に、疾患に関連した続発性骨粗鬆症のひとつとして生活習慣病関連骨粗鬆症が取り上げられている 2)。本稿では、生活習慣病関連骨粗鬆症について、2DM、CKD、COPDの各疾患ごとに概説する。
1.2型糖尿病
1)骨折リスク
『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』発刊以降、さらに大規模なコホート研究が報告されたが、それらを加えたメタ解析においても、2DMでは大腿骨近位部の骨折リスクが有意に高く、非2DM群に比し約1.3倍とされる 3)。非椎体骨折リスクは約1.3倍 3)、椎体骨折リスクについてはさまざまな報告があるが、メタ解析においてX線検査で確認した形態椎体骨折は、約1.4倍に高まるとされる 4)。わが国のレセプトや特定健診情報に基づくレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いた検討において、40歳以上で2DMの診断コードを有しDM治療薬の投与例を2DM群と判定し対照群と比較すると、大腿骨近位部骨折リスクが2DM男性では1.7倍、2DM女性では1.8倍、椎体骨折がそれぞれ1.3倍、1.3倍、橈骨骨折が1.3倍、1.2倍と、性別を問わず有意に高いことが報告されている 5)。
しかし、全ての2DM例で骨折リスクが高いわけではない。新規に2DMと診断した群では高くなく、むしろ低いとの報告もある。血糖管理状況が不良であるほど骨折リスクは高まり、HbA1c 7%以上で急激に高くなる。また、罹病期間が長いほど高まり、5年未満では上昇しないが、5年を超えると骨折リスクは約1.3倍、10年以上になると約2.4倍に上昇するとされる 3)。高骨折リスク者を判別するツールのFRAX®を使用する場合、2DMでは骨折リスクが過小評価となることが知られているが、最近改訂されたFRAXplus®では「2DMの罹病期間が5~10年」が加えられた。しかし、FRAXplus®は有料のためFRAX®と異なり一般使用はできない。
『生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド2019年版』では、HbA1c 7.5%以上、罹病歴が10年以上、インスリンの使用など表1に該当する場合に、特に骨折リスクが高いとされている 1)。
2DMの合併症がある場合はさらに骨折リスクが高く、微小血管合併症は約2倍、網膜症は約1.8倍、末梢神経障害は約3.3倍、腎症は約2.7倍と顕著に高く、合併症数が多くなるほどさらに高まる 6)。皮質骨内に存在する骨細胞は微小血管系により灌流されているため、微小血管障害は骨細胞機能を低下させることが注目されており、微小血管合併症例で骨折リスクが特に高いのは、この点を反映している可能性がある。
一方、低血糖も明らかな骨折リスクであり、メタ解析において骨折リスクが約1.5倍とされる。低血糖による転倒リスクの上昇が要因のひとつと考えられている。