第5回 SURPASS-CVOT

  • 住谷 哲 Sumitani, Satoru
    大阪府済生会泉尾病院 糖尿病・内分泌内科 部長
公開日:2026年5月14日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2026; 4(3): 0046./J Pract Diabetes Endocrinol. 2026; 4(3): 0046.
https://doi.org/10.57554/2026-0046
今回の論文

Nicholls SJ, Pavo I, et al. : Cardiovascular Outcomes with Tirzepatide versus Dulaglutide in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2025; 393(24): 2409-2420. [PubMed]

はじめに

 GLP-1受容体作動薬が登場してから、2型糖尿病治療が激変した印象をお持ちの読者も多いと思います。最初に登場したエクセナチド(商品名:バイエッタ®)はものものしいデバイスで、針が太くて注射時の痛みがかなりあったように記憶しています。その後にリラグルチド(ビクトーザ®)、リキシセナチド(リキスミア®)と続きました。これらは全て毎日投与が必要でしたが、その後週1回投与のGLP-1受容体作動薬である持続性エキセナチド(ビデュリオン®)、デュラグルチド(トルリシティ®)、セマグルチド(オゼンピック®)が登場してからは、筆者の外来ではほとんどの患者が週1回投与製剤に移行しました。
 GLP-1の主要な作用は膵β細胞に作用して血糖依存的にインスリンを分泌する点にあるので、当初は低血糖を起こしにくいインスリン分泌促進薬としての位置づけでした。しかし食欲抑制作用、消化管運動抑制作用を併せ持つことから、肥満を合併した2型糖尿病患者の血糖管理に非常に有用であることが明らかになってきました。冒頭に述べた2型糖尿病治療が激変した理由は、GLP-1受容体作動薬の登場によって初めて食欲をコントロールすることで体重を減らす薬剤が登場したことにあります。さらに、多くの心血管アウトカム試験(CVOT)の結果から、GLP-1受容体作動薬には2型糖尿病患者の心血管イベント抑制作用があることが確立され、ガイドラインにも記載されるようになっています。
 チルゼパチドはほかのGLP-1受容体作動薬とは異なり、GIP受容体にも結合するdual agonist作用を有する薬剤であり、これまでの研究から既存のGLP-1受容体作動薬と比較して、血糖降下作用、体重減少作用においては最強であることが示されています。本試験は、チルゼパチドの安全性および心血管イベント抑制作用を検討したCVOTになります。

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