(扉)特集にあたって
https://doi.org/10.57554/2026-0034
糖尿病では感染症の罹患や重症化のリスクが高まることが従来より知られている。近年の日本において感染症は、糖尿病患者の死因としてがんに次ぐ第2位を占める。過日の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが、糖尿病における感染症リスク増加の機序やワクチンによる予防の意義について見直す機会となったのは記憶に新しい。糖尿病やその治療薬により感染症リスクが増大する機序はどこまで解明しているのか、血糖マネジメント状態と感染症重症化の関連性はあるのかなど、臨床上の論点は多い。また、糖尿病患者に推奨されるワクチン接種やフットケアの実践法についても糖尿病診療に携わる医師は要点を整理しておく必要がある。
一方、感染症およびその治療が糖代謝に寄与し得ることも判明してきている。そして感染症の治療により血糖マネジメントが改善する報告もある。では、そのインパクトはどの程度なのか、感染部位や感染症の種類による違いを踏まえて、適切な感染症診療と糖尿病管理を連携させることが重要である。
このように糖尿病と感染症は密接に関連しており、その負のスパイラルを断ち切ることが両者の経過改善につながると強く考えられる。本特集では、糖尿病における感染症リスクとその特徴、予防対策について、エキスパートの先生方にわかりやすく解説していただいた。病態生理学的な解説だけでなく、プラクティスのコツまで幅広くカバーしていることが特筆に値する。同時に、感染症が糖代謝へ及ぼす影響についても取り上げ、相互作用を俯瞰できる構成とした。
読者の方々に、本特集を明日からの日常診療や研究に積極的に活かしていただければ、特集の企画者として無上の喜びである。
著者のCOI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容に関連して特に申告なし