高尿酸血症と慢性腎臓病の最新エビデンス
https://doi.org/10.57554/2026-0024
ポイント
- 腎機能と高尿酸血症は相関がある。
- 尿酸降下薬の慢性腎臓病(CKD)への介入はこれまでのところ、腎アウトカムをエンドポイントとした場合にはポジティブな結果は出ていなかった。
- 推定糸球体濾過(eGFR)スロープをエンドポイントとみると、効果がある可能性が示唆されてきた。
- 他の標準治療の上乗せとして尿酸降下薬を試みることが推奨される。
1.総論
1)尿酸の基本
食事由来のプリン体と体内の核酸に由来するプリン体は、尿酸の主な供給源であり、腎臓から約70%、腸管から約30%排泄される。尿酸が過剰となった場合には、痛風発作と呼ばれる関節内への尿酸塩結晶の析出による炎症、皮下や関節に尿酸結晶が溜まった尿酸結節、尿路結石をつくる場合や、ミクロに腎臓の髄質に沈着し痛風腎をきたすなど、臨床上のさまざまな問題を起こすことが知られている。
腎臓は尿酸のハンドリングの要であり、URAT1の機能低下による腎性低尿酸血症1型、GLUT9の機能低下による腎性低尿酸血症2型が存在することが知られ、運動後急性腎障害や尿路結石との関連が示唆されている。最近では、OAT10が尿酸の再吸収にかかわることが明らかになりつつある。
2)高尿酸血症と代謝疾患
ヒポクラテスの時代から痛風があったと言う記載が散見されるものの、厳密な引用文献は記載されていないことが多い。本邦においては野口英世の手を治療した近藤次繁が『日本外科學會雑誌』32巻4号712頁(昭和6年7月)に“痛風性關節炎は本邦に於ては稀なる疾患にして明治三十一年濱田の報告以來僅に十例を出す。三十四歳の製糸工場の監督、十年前より右側第1趾の趾間關節に來る腫性腫脹あり、時には肢體全體に疼痛を覚えたり、昭和五年六月に至り患部自潰して中より膿様のもの排出し其中に白堊様のもの認めたりとて之を入院せしめ、切除によりて得たる標本を供覧せり”とある。これより前に、宣教師のルイス・フロイスが『日本史』に「日本には痛風が少ない」と記載している、と川崎桃太著『フロイスの見た戦国日本』(2003年、中央公論新社)にある。
さて、臨床上は心血管死とのリスク、高血圧やメタボリック症候群と尿酸の関係が示されており、CKDにおいても「CKDの発症」、「アルブミン尿の発生」などが示されている。
3)高尿酸血症への介入
上記のことから高尿酸血症が代謝性疾患であることは明白であるにもかかわらず、腎臓に関して行われたさまざまな介入試験では、有意な結果を出すことができなかった。
- 『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』においては
CQ5-1 保存期CKD患者に尿酸低下療法は推奨されるか?
【推奨】高尿酸血症を有するCKD患者に対する尿酸低下療法は腎機能悪化を抑制する可能性があり、行うことを考慮してもよい【2C】。
となっている。 - 『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』においては
CQ2 腎障害を有する高尿酸血症の患者に対して、尿酸降下薬は非投薬に比して推奨できるか?
→腎障害を有する高尿酸血症の患者に対して、腎機能低下を抑制する目的に尿酸降下薬を用いることを条件つきで推奨する。
であったものの、同ガイドライン(第3版)の治療アルゴリズムにおいては、「腎障害合併例では尿酸降下薬として原則として尿酸生成抑制薬を使用する」と、強い推奨になっている。なぜこのようになったのか。