2型糖尿病の食事療法の最新エビデンス

  • 濱口真英 Hamaguchi, Masahide
    京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学 講師
    福井道明 Fukui, Michiaki
    京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学 教授
公開日:2026年1月23日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2026; 4(1): 0009./J Pract Diabetes Endocrinol. 2026; 4(1): 0009.
https://doi.org/10.57554/2026-0009

ポイント

  • 食事療法は“制限”ではなく個人最適化された医学栄養療法(Medical Nutrition Therapy:MNT)であり、人中心アプローチのもと共有意思決定(Shared Decision‑Making:SDM)・動機づけ面接(Motivational Interviewing:MI)、SMART目標(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, and Time‑bound:SMART)、5Aアプローチ(Ask, Assess, Advise, Agree, Assist)を統合して実効性と持続性を高めるべきである。
  • 唯一解ではなく複数の妥当解から、嗜好に応じて継続可能な食事療法を自己選択することが望ましい。
  • 過体重を伴う2型糖尿病では体重減少は寛解の主要要因であり、完全食置換(Total Diet Replacement:TDR)や時間制限食(Time‑Restricted Eating:TRE)/断続的断食(Intermittent Fasting:IF)をMNTの補完戦略として安全に実装すべきである。
  • デジタルヘルス技術(糖尿病自己管理教育と治療支援〔Diabetes Self‑Management Education and Support:DSMES〕の体系化、持続血糖測定〔Continuous Glucose Monitoring:CGM〕/標準化血糖レポート〔Ambulatory Glucose Profile:AGP〕/目標範囲内時間〔Time in Range:TIR〕の可視化、遠隔支援アプリ、接続デバイス)を統合し、データ駆動のSDMで小さな成功を積み上げるべきである。

1.総論

 日本糖尿病学会は糖尿病治療の目標を、糖尿病がある人が血糖値を管理し、生活の質(QOL)を高めることとしている。米国糖尿病学会(ADA)も「個人中心アプローチ(Person-centered approach)」を通じて、2型糖尿病がある人のQOLを最適化することを強調している 1~3)。これらの目標を達成するには、日常生活に深く組み込まれた食事療法が不可欠である。
 食事は血糖に直接作用する主要因であり、適切な食事療法は血糖マネジメントの基盤であると同時に、長期合併症の発症・進展を予防するための重要な手段でもある。実際、J-DOIT3およびLook AHEADなどの大規模研究では、食事を中心とした多因子介入が心血管疾患、腎症、網膜症といった合併症リスクを有意に低下させることが示されている 4, 5)。さらに近年は、寛解(remission)という治療目標が広く共有され 6~8)、その達成に向けて食事療法の実効性をいかに高めるかが重要課題となっている。その鍵となるのが、動機(motivation)を高める実践であり、糖尿病医療におけるヘルスコーチングの活用や、これを支援するデジタル治療(DTx)の推進である。
 食事治療はMNTとも呼称され、食事“制限”ではなく、個人ごとに最適化された栄養の摂取である 1~3)。『糖尿病診療ガイドライン2024』は、個々に即して選べる複数の食事療法選択肢とその推奨度を示し、自己決定とSDMを支える診療支援として更新され続けている 1)
 本稿は、個人の納得と自己決定こそ食事療法実行の鍵であるという立場に立脚し、医療者が2型糖尿病がある人の自己決定を支える診療支援を行うための最新エビデンスを概説する。

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