副甲状腺機能低下症治療薬の最新エビデンス
公開日:2026年7月23日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2026; 4(4): 0059./J Pract Diabetes Endocrinol. 2026; 4(4): 0059.
https://doi.org/10.57554/2026-0059
https://doi.org/10.57554/2026-0059
ポイント
- 副甲状腺機能低下症に対する従来治療は、活性型ビタミンD製剤の経口投与が中心であり、血清カルシウム(Ca)濃度を上昇させることを目的として行われてきた。
- 従来治療では腎石灰化や腎機能悪化のリスクが指摘されており、尿中Ca排泄を過度に増加させないよう、血清Ca濃度は低めに管理される。
- 本邦では2025年8月に、PTH補充療法であるパロペグテリパラチドが承認された。
- 従来治療と比較して、パロペグテリパラチドによる治療では血清Ca濃度の正常化を目指すことができ、さらに腎機能の保持および骨代謝の正常化も期待される。
1.総論
1)副甲状腺機能低下症について
副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)は、骨芽細胞を介して破骨細胞を活性化し、骨吸収を促進することで、細胞外液中にカルシウムイオン(Ca2+)を遊離させる。さらに、腎遠位尿細管ではCa2+の再吸収を促進し、近位尿細管ではリン(P)の排泄を促進するとともに、25-ヒドロキシビタミンDの1α位水酸化を促進してビタミンDを活性化する。活性化されたビタミンDは腸管からのCa吸収を促進する。
PTH作用不全では低Ca血症および高P血症を呈し、その病態はPTH分泌低下による副甲状腺機能低下症と、PTH不応性による偽性副甲状腺機能低下症に大別される。本稿では前者について述べる。
本邦における副甲状腺機能低下症の患者数は人口10万人あたり38.3人(約48,500人)とされ、原因としては頸部手術(甲状腺摘出術など)に伴う術後性のものが大部分を占める 1)。その他、先天性や自己免疫性なども原因として知られており(図1)、近年では免疫チェックポイント阻害薬に伴う免疫関連有害事象も原因として報告されている。また、マグネシウム(Mg)欠乏はPTH分泌低下とPTH不応性の両面からPTH作用不全の原因となる。
副甲状腺機能低下症の症状は主として低Ca血症に起因し、小児ではけいれん、成人ではテタニー症状を呈することが多い。ただし、慢性経過では低Ca血症の自覚症状を欠く場合もあり、大脳基底核の石灰化などを契機に診断されることもある。