甲状腺の解剖学

  • 北川 亘 Kitagawa, Wataru
    伊藤病院 外科 診療技術部部長
公開日:2026年7月16日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2026; 4(4): 0058./J Pract Diabetes Endocrinol. 2026; 4(4): 0058.
https://doi.org/10.57554/2026-0058

はじめに

 甲状腺は首の前方で甲状軟骨のやや下にあり、左右の葉とそれをつなぐ峡部からなる。ちょうど蝶が羽を広げたような形で気管を抱き込むよう存在している。男性は女性よりも低い位置にある。甲状腺の解剖を理解することは、手術の理解を深めるとともに超音波検査やCT、MRIなどの画像診断の理解を深めることにもつながる。また、穿刺吸引細胞診や太針生検を安全に施行するには、甲状腺の解剖を十分理解することが重要となる。本稿では甲状腺の局所解剖、触診の基本動作や正常甲状腺の病理組織像を中心に解説する。

1.甲状腺の局所解剖

1)位置と大きさ

 甲状腺は通常、第2・3気管軟骨の前面に位置している。Berry靭帯で甲状腺は気管に固定されており、葉の後外側はZuckerkandl結節と呼ばれ、その背側を反回神経が走行している。片葉の大きさは、健常成人で縦径4~5cm、横径1~2cm、厚さ1~2cmで、重さは約10~15gの内分泌臓器である。

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