1.食事を中心とする生活習慣改善のポイント

  • 荒川仁香 Arakawa, Kimika
    国立病院機構九州医療センター検査科医長・検査部長
公開日:2026年6月24日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2026; 4(4): 0051./J Pract Diabetes Endocrinol. 2026; 4(4): 0051.
https://doi.org/10.57554/2026-0051

はじめに

 高血圧の予防や管理・治療において、生活習慣の改善は根幹である。しかし、その実践や継続が難しいことは日々の診療において痛感する。この点を少しでも克服すべく医療スタッフに役立つよう『高血圧管理・治療ガイドライン(JSH2025)』に則った食事を中心とする生活習慣改善のポイントを解説する。

1.食塩制限(減塩)

1)わが国の食塩摂取量の現状と集団的アプローチ

 令和6年国民健康・栄養調査 1)によると、2024年の日本人の食塩摂取量は9.6g(男性10.5g、女性8.9g)と、ここ10年程は横ばいで推移している。この値はいまだ日本人の食事摂取基準2025年版 2)における目標量(男性7.5g、女性6.5g)とは2~3g、日本高血圧学会の目標値6g/日未満 3)とは3~4g、さらにWHOの目標 4)とは約5gの隔たりがある(図1)。この隔たりを解消するには、ライフコース(ゆりかごから墓場まで)を通した減塩に対する啓発を学校、職域、住民組織、マスメディア、ソーシャルメディアなどのあらゆる場面と手法を用いて実施すべきである。また、特定健診などの健診受診者に対する啓発や情報提供も必要である。実際、集団対象への減塩介入による食塩摂取量、尿中ナトリウム(Na)排泄量、および血圧を評価項目としたシステマティック・レビューでは、減塩介入により成人の収縮期・拡張期血圧、食塩摂取量、尿中Na排泄量を有意に低下させることがJSH2025内で示されている 3)。加えて、食品・食事中の食塩量の低減を中心とした食環境整備も減塩を実践する上では欠かせない。日本高血圧学会は、2013年より減塩食品を審査し「JSH減塩食品リスト」を公開しているが、リスト掲載品の減塩量(従来品に比し)は2024年で1,156トン、売上高は559億と順調に増加傾向である 5)図2)。こういった産学連携の取り組みが続けられ、さらに広がることで低塩社会が形成されれば個人が労さずとも減塩が可能となる。

このコンテンツは糖尿病・内分泌プラクティスWebをご購読後にお読みいただけます。

明日の臨床に役立つ時宜を捉えたテーマについて、内分泌代謝・糖尿病内科領域のエキスパートが解説。
毎週論文が更新され、いつでも “オンライン” で日常診療に役立つ情報をアップデートできます。

最新のアップデートに加え、これまでの掲載してきた100論文以上を読み放題です。
この機会に読みたかった論文に加え、気になる特集やセミナーを見つけてください。

■特 集(https://practice.dm-rg.net/main
内分泌代謝・糖尿病内科領域から押さえておきたい選りすぐりのテーマを、エキスパートが徹底解説。

■セミナー( https://practice.dm-rg.net/special
セミナー基礎医学から臨床に役立つ実践的な内容まで、多種多様なコーナーが学びをサポート。

■連 載(https://practice.dm-rg.net/series
独自の切り口と多彩な情報が満載、知的好奇心を刺激する連載。

「高血圧管理・治療ガイドライン2025」 ―心・腎・代謝連関の視点から― 一覧へ 『4巻4号(2026年7・8月号)』(発行号ページ)へ

セミナー

連載