3.骨粗鬆症の治療目標と治療戦略
https://doi.org/10.57554/2026-0068
はじめに
骨粗鬆症治療においては腰椎もしくは大腿骨近位部の骨密度のT-score>-2.5(若年成人比較の約70%)の獲得が一定の治療目標となり得る。治療効果不足の際は、①弱い骨吸収抑制薬からより強い骨吸収抑制薬への変更、②強い骨吸収抑制薬から骨形成促進薬への変更、③内服薬から注射薬への変更、などが考慮され得る。重症骨粗鬆症では“Anabolic First”の概念から骨形成促進薬より治療介入し、骨吸収抑制薬による逐次治療を継続することが長期的な骨折予防に有効と考えられる。
1.骨粗鬆症の治療目標
2024年に米国骨代謝学会などより提唱された“ゴール達成を目指した骨粗鬆症治療戦略”のポジションステートメント(表1)では、腰椎、大腿骨近位部もしくは頚部の骨密度でT-score>-2.5(高齢・最近の転倒歴・低身体機能では、T-score>-2.0)の獲得を最低限の達成目標に掲げている(どの部位を指標とするかは患者の状況による) 1)。その際の第一選択薬は、治療開始3年以内に50%以上の確率でT-score>-2.5達成可能な薬剤とすること、併せて、治療開始前にT-score>-2.5の患者では腰椎で6%・大腿骨近位部で3%の骨密度上昇を治療目標に提唱している。また椎体・大腿骨近位部・骨盤骨折の既往や、T-scoreが腰椎<-3.0もしくは大腿骨近位部<-2.8の症例では骨形成促進薬を第一選択として提唱している。一方で近年のメタアナリシスより、大腿骨近位部の骨密度を対照群より3.18%増加させることができれば、全ての部位での有意な骨折抑制効果が得られることが報告された 2)。これらは本邦においても一定の治療目標となり得ると考えられる。