1型糖尿病のステージ分類について
https://doi.org/10.57554/2026-0081
はじめに
1型糖尿病の多くは膵β細胞を標的とする自己免疫疾患であり、膵β細胞の破壊により絶対的なインスリン欠乏状態を呈する。近年、1型糖尿病は突然発症するのではなく、発症に至るまでに免疫学的変化が段階的に進行する疾患であることが明らかとなってきた。このような病態理解の進展を背景に、発症前から症候期に至るまでの経過を整理した3つのステージ(病期)が提唱され、1型糖尿病をより体系的に理解するための枠組みが整えられた。本稿では、この1型糖尿病のステージ分類について概説する。
1.1型糖尿病のステージ分類
欧米の大規模コホート研究により、1型糖尿病は発症前から段階的に進行する疾患であることが明らかとなっている 1)。すなわち、遺伝的素因や環境要因を背景に膵島関連自己抗体が出現し、無症候ながら自己免疫反応が進行する前症候期を経て、最終的に高血糖症状を呈する症候期へと至る。このような病態理解を踏まえ、2015年に米国糖尿病学会(American Diabetes Association:ADA)、Breakthrough T1D(旧JDRF)ならびに米国内分泌学会は1型糖尿病を3つのステージに分類した(図1)1)。
ステージ1
膵島関連自己抗体4種(グルタミン酸脱炭酸酵素〔GAD〕抗体、Insulinoma-associated antigen-2〔IA-2〕抗体、亜鉛輸送担体8〔ZnT8〕抗体、インスリン自己抗体〔IAA〕)のうち2種類以上が陽性で、耐糖能は正常の段階。すでに自己免疫反応は進行しているものの、血糖値は正常に保たれている。
ステージ2
2種類以上の自己抗体陽性に加え、経口ブドウ糖負荷試験などで耐糖能異常を認める段階。症状はないが、臨床的1型糖尿病(ステージ3)への進展リスクが高い。
ステージ3
高血糖症状を呈し、臨床的に1型糖尿病と診断される段階。