「先進医療機器により得られる新たな血糖関連指標に関するコンセンサスステートメント」について
公開日:2025年11月20日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(6): 0100./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(6): 0100.
https://doi.org/10.57554/2025-0100
https://doi.org/10.57554/2025-0100
1.日本におけるCGM導入と現状
日本では2010年に持続グルコース測定(Continuous Glucose Monitoring:CGM)が保険適用となった。その後、特にCOVID-19パンデミック以降、CGM機器の利用は急速に拡大し、日常診療においても広く用いられるようになった。この普及に際して、膨大なCGMデータをいかに標準化して評価し、臨床の場に還元するかという課題が表在化した。その解決策の一つとして、血糖コントロールの評価指標である「Time in Range(TIR)」という概念が提唱された 1)。
2.Time in Range(TIR)という概念の確立
2019年に開催された国際会議「Advanced Technologies and Treatments of Diabetes(ATTD)」において、TIRに関する国際コンセンサスステートメントが発表された。このステートメントでは、血糖値70~180mg/dLの範囲を「目標血糖範囲」と定義し、その範囲内にある時間の割合をTIR(%)とした。さらに、目標範囲を超える高血糖はTAR(Time Above Range)、下回る低血糖はTBR(Time Below Range)と定義された 1)。