運動腫瘍学

  • 辻󠄀 哲也 Tsuji, Tetsuya
    慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室 教授・教室主任
公開日:2025年2月7日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(1): 0014./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(1): 0014.
https://doi.org/10.57554/2025-0014

はじめに

 Exercise Oncology(運動腫瘍学)は、がん治療の各段階において身体活動や運動が及ぼす影響を評価し、適切な運動処方を目指す新しい学問分野である。近年の研究により、がんサバイバーに対する運動療法は、身体機能の向上だけでなく、精神心理面や生活の質(QOL)の改善、有害事象の減少、生命予後の改善など、多面的な効果があることが明らかになってきている 1)

1.診療ガイドラインなど、国内外の動向

 国際的な診療ガイドラインとして、American Cancer Society(ACS) 2)、American College of Sports Medicine(ACSM) 3)、American Society of Clinical Oncology(ASCO) 4)が、がん患者への運動療法に関する推奨を発表している。ASCOは2022年に発表したガイドラインで、がん治療の副作用軽減のために積極的治療中の運動を推奨している。日本でも2019年に『がんのリハビリテーション診療ガイドライン』が改訂され、がん種や治療目的別の運動の推奨が示されている 5)
 これらのガイドラインで推奨される運動量は、週150分の中強度~高強度の有酸素運動と週2~3回の筋力トレーニングでおおむね一致している。運動療法は一般的に安全であり、有害事象の報告は少ないとされているが 6, 7)、乳がんサバイバーのリンパ浮腫患者では弾性着衣の装着が必要となるなど、特定の状況での注意点も示されている。

このコンテンツは糖尿病・内分泌プラクティスWebをご購読後にお読みいただけます。

明日の臨床に役立つ時宜を捉えたテーマについて、内分泌代謝・糖尿病内科領域のエキスパートが解説。
毎週論文が更新され、いつでも “オンライン” で日常診療に役立つ情報をアップデートできます。

最新のアップデートに加え、これまでの掲載してきた100論文以上を読み放題です。
この機会に読みたかった論文に加え、気になる特集やセミナーを見つけてください。

■特 集(https://practice.dm-rg.net/main
内分泌代謝・糖尿病内科領域から押さえておきたい選りすぐりのテーマを、エキスパートが徹底解説。

■セミナー( https://practice.dm-rg.net/special
セミナー基礎医学から臨床に役立つ実践的な内容まで、多種多様なコーナーが学びをサポート。

■連 載(https://practice.dm-rg.net/series
独自の切り口と多彩な情報が満載、知的好奇心を刺激する連載。

TRENDS一覧へ 『3巻1号(2025年1・2月号)』(発行号ページ)へ

セミナー

連載