スポーツ栄養学 ―スポーツ現場におけるビタミンD栄養を考える―

  • 虎石真弥 Toraishi, Mami
    帝京大学 スポーツ医科学センター 講師
公開日:2024年12月19日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(6): 0093./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(6): 0093.
https://doi.org/10.57554/2024-0093

 脂溶性ビタミンの一種であるビタミンDは、食事からの摂取のほか、紫外線の作用により皮膚でかなりの量が産生されるユニークな栄養素である。ビタミンDの最も基本的作用は、腸管におけるカルシウム・リンの吸収促進であることから、ビタミンD不足は骨の脆弱化を招き、骨折リスクを高める。フィンランドの若年男性を対象とした研究では、ビタミンD栄養状態の指標である血中25ヒドロキシビタミンD(25OHD)濃度の低値において、疲労骨折の発生率が増加したことを示しており 1)、スポーツ現場における骨障害予防の観点からもビタミンDの栄養状態を良好に保つことは重要なテーマといえる。さらに近年、ビタミンDと免疫、骨格筋、脂質代謝、心血管疾患などとの関連があるなど、アスリートのコンディショニングや競技パフォーマンスを向上させる可能性のあるエルゴジェニック特性がある栄養素としても注目されている 2)

 ビタミンD不足は世界的な問題となっているが、日本人を対象とした疫学研究においても、ビタミンD欠乏の指標となる20ng/mL付近またはそれを下回る低い結果が報告されている。『日本人の食事摂取基準(2020年版)』3)では、日照によって皮膚で産生されるビタミンDの量を差し引き、食事からの摂取目安量を8.5μ/日としているが、国民健康・栄養調査の結果でも、日本人のビタミンD摂取状況は6.2μg/日と十分な摂取に至っていない 4)。その原因は、表1に示すようにビタミンD供給源となる主な食品が一部の魚類ときのこ類などに限られていることにある。ビタミンD含有量の多い鮭であれば1切(100g)で約32μgのビタミンDを含むため、週3~4回程度、習慣的に摂取すれば約15μg/日程度のビタミンD摂取が可能となる。まずは習慣的な魚の喫食の見直しや、ビタミンDが強化された乳製品などを積極的に活用したい。

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