スポーツ栄養学 ―スポーツ現場におけるビタミンD栄養を考える―
公開日:2024年12月19日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(6): 0093./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(6): 0093.
https://doi.org/10.57554/2024-0093
https://doi.org/10.57554/2024-0093
脂溶性ビタミンの一種であるビタミンDは、食事からの摂取のほか、紫外線の作用により皮膚でかなりの量が産生されるユニークな栄養素である。ビタミンDの最も基本的作用は、腸管におけるカルシウム・リンの吸収促進であることから、ビタミンD不足は骨の脆弱化を招き、骨折リスクを高める。フィンランドの若年男性を対象とした研究では、ビタミンD栄養状態の指標である血中25ヒドロキシビタミンD(25OHD)濃度の低値において、疲労骨折の発生率が増加したことを示しており 1)、スポーツ現場における骨障害予防の観点からもビタミンDの栄養状態を良好に保つことは重要なテーマといえる。さらに近年、ビタミンDと免疫、骨格筋、脂質代謝、心血管疾患などとの関連があるなど、アスリートのコンディショニングや競技パフォーマンスを向上させる可能性のあるエルゴジェニック特性がある栄養素としても注目されている 2)。