糖尿病と歯周病
公開日:2026年10月29日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2026; 4(5): 0077./J Pract Diabetes Endocrinol. 2026; 4(5): 0077.
https://doi.org/10.57554/2026-0077
https://doi.org/10.57554/2026-0077
はじめに
糖尿病患者は多彩な合併症、併存疾患を認めるが、その中のひとつである歯周病も糖尿病患者で高頻度に認められる。
糖尿病患者では歯周病になりやすく、かつ重症化、再発しやすい一方、歯周病も糖尿病の新規発症や血糖コントロール悪化の原因になることが報告されており、この二つの疾患は双方向の関係にある。
本稿では、糖尿病と歯周病、両疾患の関係性や重要性について症例を提示しながら考える。
1.糖尿病とは
糖尿病とは、インスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主とする代謝疾患とされている。成因として、大きく1型、2型、その他の特定の機序や疾患によるもの(他疾患に対する投薬による副作用としての糖尿病や、膵臓疾患によるものなど)、妊娠糖尿病に分類される。
糖尿病は初期には自覚症状は乏しいが、いずれの成因であっても慢性的な高血糖状態が続くことにより網膜症や腎症、神経障害などの細小血管を標的とした特徴的な合併症をもたらす。さらに、冠動脈や脳血管を含む全身の血管を標的とした動脈硬化の発症・進展も引き起こす。
その他にも、糖尿病は感染症、歯周病、骨折、認知機能低下、癌などと関連があることもわかっており、これらは糖尿病の併存疾患として認識されている。これらの合併症、併存疾患は全て生活の質(QOL)を著しく低下させるものであり、発症・進展の予防が重要である(図1)。