機械学習に基づく2型糖尿病サブタイプの予測
https://doi.org/10.57554/2026-0048
はじめに
糖尿病は、発症様式や病態、合併症の進展速度、治療反応性が個々に異なる極めて多様な疾患である。この異質性を考慮し、個々の患者に最適な医療を提供する「個別化医療」の実現が望まれている 1)。しかし、日常診療で多岐にわたる臨床指標を統合し、将来の合併症リスクを正確に予測することは容易ではない。近年、この課題を解決する手法として、人工知能(AI)の機械学習を用いた「クラスター分類」が注目されている。本稿では、機械学習に基づく糖尿病サブタイプ予測の現状と、日本国内の大規模データベースを用いた研究成果について概説する。
1.臨床的クラスター分類の提唱
2018年に北欧のグループ 2)は、GAD抗体、発症年齢、BMI、HbA1c(NGSP値)、インスリン分泌能(HOMA2-β)、インスリン抵抗性(HOMA2-IR)の6つの指標を用いた機械学習(k-means法)により、糖尿病を5つのクラスターに分類できることを報告した。
図1に示すように、これらのサブタイプはそれぞれ異なる臨床的特徴と合併症リスクを有している 3)。
クラスター1(SAID:重症自己免疫性):若年発症、GAD抗体陽性、インスリン枯渇が特徴。
クラスター2(SIDD:重症インスリン欠乏性):GAD抗体陰性だが高度のインスリン欠乏を認め、網膜症のリスクが高い。
クラスター3(SIRD:重症インスリン抵抗性):高度肥満と重度のインスリン抵抗性を伴い、糖尿病腎症の最大のリスク群である。
クラスター4(MOD:軽症肥満関連):軽度の肥満を伴うが、合併症リスクは比較的低い。
クラスター5(MARD:軽症加齢関連):高齢発症で、病態は比較的良性に経過する。