1.高LDL-C血症
https://doi.org/10.57554/2026-0083
はじめに
アジアの一部である本邦において脂質異常症は食生活の欧米化や肥満の増加につれて増加しており、その結果として循環器疾患の中でも脳心血管疾患のうちの冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳梗塞、末梢動脈疾患が増加し、健康寿命の短縮を招いている。適切な脂質異常症治療のためには、適切なスクリーニングと病態評価が必須である。日本動脈硬化学会は動脈硬化性疾患予防を目的とした『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』 1)、および『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド』 2)を定期刊行している。脂質異常症の中で最も動脈硬化性疾患発症の可能性が高くかつ適切に管理し得る高LDLコレステロール(LDL-C)血症について、動脈硬化性疾患発症リスクの観点からスクリーニングし、他疾患の重複も含めたリスク重症度を包括的に評価し、リスク低減を目指した管理目標に基づく治療が重要である。
1.家族性高コレステロール血症と高LDL-C血症の包括的リスク評価
脂質異常である高LDL-C血症、高トリグリセライド(TG)血症、低HDLコレステロール(HDL-C)血症いずれも脳心血管疾患発症リスクを増加させるが、その背景にはリポ蛋白代謝異常が存在し、動脈硬化惹起的なリポ蛋白の増加が関与する。コレステロールはLDL粒子中に多く含まれ血管内皮下に取り込まれ組織に受け渡されるが、このLDL粒子が酸化を受けると酸化LDLとなり動脈硬化プラークが形成される。LDL粒子の増加によりLDL-Cの上昇がみられるため、LDL-C値はダイレクトに動脈硬化の悪化を反映する(LDL粒子に含まれるアポリポ蛋白であるアポBの上昇もLDL粒子の増加を反映するため評価に用いられる)。多くの海外・アジア人・日本人における研究にてLDL-C 140mg/dL以上が冠動脈疾患の発症率・死亡率を上昇させることが一貫して示され、高LDL-C血症のスクリーニング基準とされている 1)(図1)。