神経系による腎機能の保護

  • 鷲峯紀人 Washimine, Norito
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 腎臓内科学
    井上 剛 Inoue, Tsuyoshi
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 内臓機能生理学 教授
公開日:2023年11月10日
No:a0085/https://doi.org/10.57554/a0085

はじめに

 近年、腎臓領域において、腸内細菌との関連(腸腎連関)や心血管疾患との関連(心腎連関)が数多く報告されており、腎臓と多臓器との連関が注目されている。そのため、日常臨床においても専門分野だけでなく、臓器連関を意識した治療が肝要である。特に糖尿病・内分泌領域と腎臓領域との関わりといえば、sodium-glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬の腎保護効果が想起され、すでに日常診療に浸透し始めている。慢性腎臓病におけるダパグリフロジンの効果を検討したDAPA-CKD試験では、CKD 患者において、糖尿病の有無にかかわらず、推算糸球体濾過量(eGFR)低下、末期腎不全、腎疾患死・心血管死の複合リスクがダパグリフロジン投与群で有意に低いという結果であった 1)。SGLT2阻害薬による腎保護効果の機序としては緻密斑を介した尿細管糸球体フィードバック、Na利尿作用による体液再分配、尿細管仕事量の減少による糖毒性や低酸素の改善、後続の尿細管への仕事量増加に起因した酸素需要の亢進によるエリスロポエチン産生促進などが挙げられる 2)。また、その他にもSGLT2阻害薬により心拍数増加を伴わない血圧低下がみられることから、交感神経への直接作用なども示唆されている。

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