インスリンの種類と使い方

  • 岡本将英 Okamoto, Masahide
    岡本医院 おかもと糖尿病・内分泌クリニック 院長
公開日:2024年6月28日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(3): 0046./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(3): 0046.
https://doi.org/10.57554/2024-0046

はじめに

 糖尿病の薬物療法においては近年新しいタイプの経口薬が次々と登場し、以前に比べるとインスリンの使用頻度は減少している。しかしながら、1型糖尿病患者はもちろんのこと、2型糖尿病においてもインスリン分泌低下を主たる病態とする患者に対しインスリンによる治療が必要となるケースは依然多い。
 また、糖尿病発症時や高血糖持続時などの糖毒性*解除が必要な場合、感染症や手術などで厳格な血糖値管理が必要な場合、妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠で経口薬が使用できない場合などにもインスリンによる治療が求められる。
 本稿では、現在本邦で使用できるインスリンの種類や、2型糖尿病診療におけるインスリン治療の考え方、使い方を模擬症例に沿って解説する。

*糖毒性:高血糖状態が続くことで膵β細胞からのインスリン分泌能が低下し、またインスリン抵抗性が高まることによりさらなる高血糖を招く悪循環の状態

1.症例: 56歳男性

 【現病歴】自営業であり健診を長らく受けていなかった。半年ほど前から口渇と体重減少が出現し、また倦怠感が徐々に増強したため心配になり10年ぶりに健診を受けたところ、血糖高値(HbA1c 10.2%、随時血糖値 280 mg/dL)を指摘された。入院治療が必要と判断され、初回の治療導入目的に入院となった。
 【現症】身長 172 cm、体重 60.0 kg、BMI 20.3
 【入院時検査所見】尿:糖(+++)、ケトン(+)、蛋白(-)、尿中Cペプチド(24h)80 μg/日、血液:HbA1c 10.4%、空腹時血糖値 214 mg/dL、血中Cペプチド 0.8 ng/mL、抗GAD抗体(-)
 入院翌日の血糖推移を表1に示す。

表1 入院翌日の血糖推移
表1 入院翌日の血糖推移

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