第65回 糖尿病の注射薬2022
はじめに
糖尿病治療に用いられる注射薬は、インスリン製剤、Glucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬および配合注射薬に分けられる。自己注射に対する指導管理は「C101在宅自己注射指導管理料」で算定し、注射薬は「薬価基準」、注入器は「C151注入器加算」、注射針は「C153注入器用注射針加算」、血糖測定やインスリン注入に関しては「C150血糖自己測定器加算」、「C152間歇注入シリンジポンプ加算」および「C152-2持続血糖測定器加算」で算定する。そして注射薬の投与に用いられる特定医療保険材料は所定点数に含まれ、医療機器は医療機関などからの給付・貸与となり、注射薬に係る算定については複雑である。
よって今回は、2022年4月の診療報酬改定および12月適用の薬価基準 1)を中心に、自己注射に係る注射薬と特定医療保険材料について概説する。なお、2022年12月21日の中央社会保険医療協議会によると、2023年度薬価改定では、国⺠負担軽減の観点から、平均乖離率♯7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目が改定の対象となる 2)。
♯平均乖離率とは、{(現行薬価×販売数量)の総和-(実販売単価×販売数量)の総和}/(現行薬価×販売数量)の総和で計算される数値をいう。
1.薬価基準に収載されている注射薬 1, 3, 4)
糖尿病治療に用いられる注射薬の一覧を、表1、表2、表3に示す。インスリン製剤は超速効型、速効型、持効型溶解、中間型、混合型、配合溶解、GLP-1受容体作動薬配合製剤に分類され、インスリン専用シリンジで吸引して使用する「バイアル製剤」、専用のペン型注入器とA型専用注射針を組み合わせて使用する「カートリッジ製剤」およびインスリン製剤と注入器が一体となった「プレフィルド/キット製剤」がある。そしてインスリン製剤の効能・効果は、全ての製剤で「インスリン療法が適応となる糖尿病」である。

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