第64回 糖尿病とDPC/PDPS制度2022
はじめに
Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System制度(DPC/PDPS:1日当たりの包括評価制度)は、2003年に82の特定機能病院を対象に導入された、急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度であり、DPCは「診断群分類」を、PDPSは「1日ごとの支払い方式」を意味し「包括医療費支払い制度」とも呼ばれている 1)。その後、2年ごとの診療報酬改定時には対象病院は段階的に拡大され、2022年の診療報酬改定時には対象病院1,764病院483,425床、準備病院259病院22,464床となり 2)、急性期一般入院基本料などに該当する病床の約85%を占める 3)。そして2022年においてもDPC/PDPSが改定されている。
よって今回は、糖尿病・内分泌プラクティスWebの第1回(通算64回)連載のテーマとしてDPC/PDPSを選び、2022年の診断群分類点数表や定義テーブルなどの改定内容に基づき、制度の基本的概要および糖尿病に係るDPC/PDPSについて概説する。
1.2022年度診療報酬改定におけるDPC/PDPSの基本的概要 1, 3)
DPC/PDPS対象の医療機関(DPC対象病院)は、診断群分類ごとに設定される在院日数に応じた3段階の定額点数(表1の入院期間Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ) 4)に、医療機関ごとに設定される医療機関別係数を乗じた点数を算定する(図1)。

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医療機関別係数は、基礎係数、機能評価係数Ⅰ、機能評価係数Ⅱ、激変緩和係数の合計であり、基礎係数は医療機関群(大学病院本院群、DPC特定病院群、DPC標準病院群)ごとの基本的な評価、機能評価係数Ⅰは医療機関における全ての入院患者が算定する項目について係数化、機能評価係数ⅡはDPC対象病院ごとに6つの係数(保険診療係数、効率性係数、複雑性係数、カバー率係数、救急医療係数、地域医療係数)を基本的な項目として評価、激変緩和係数は診療報酬改定時の激変を緩和するため、改定年度1年間に限り設定している係数である。