進化する1型糖尿病診療 Q&A

  • 小谷紀子 Kodani, Noriko
    国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科
    町川香代子 Machikawa, Kayoko
    国立国際医療研究センター病院 看護部
公開日:2023年9月21日

「進化する1型糖尿病診療」に関するQ&Aです。

1型糖尿病のある患者に寄り添うために必要な心理的サポートのポイントを教えてください。

 血糖管理にうまく取り組むことができない患者さんの中に、1型糖尿病の受け入れがまだできていない人がいます。1型糖尿病の診断を受けて、今までと同じような生活ができなくなった、自分は不幸になった、前向きにこれからの人生を考えることができないなどの感情が生じます。家族や友人、医療者に心の中の思いを話す機会がないまま、長年が経過していることがあります。医療者と患者さんの間で信頼関係の構築なしに、医療者は患者さんの思いを正しく理解することはできません。ラポール形成は不可欠です。
 血糖管理がうまくいっていない患者さんを目の前にして、医療者の頭の中では、どのようにインスリンを使用し、食事、運動、体重管理をどのように取り組むのが良いかという治療の方針ができます。しかし、それをそのまま患者さんの前に提示しても決してうまくはいきません。患者さん自身が糖尿病のある自身の状態についてどの程度受け入れができているか、患者さんがどのように糖尿病のある生活をこれまで過ごしてきたか、これからはどのように過ごしていきたいのか、日々何に困っているか、どのようなことをつらいと感じているか、といったことについて知らなければなりません。患者さんの問題点の本質を把握せずして、対策は得られないのです。その上で、患者さん自身ができることを、患者さん自身の意思で進める必要があります。
 医療者が診察室で患者さんと過ごす時間は患者さんの時間の1%にも満たないのです。残りの99%以上の時間は患者さん一人で取り組まなければなりません。われわれ医療者は、限られた時間の中で、できる限りのサポートに取り組まなければなりません。ここでは、主治医の取り組みとともに、療養指導の場での取り組みについて紹介します。

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