バセドウ病の治療選択の支援Q&A
公開日:2023年12月11日
No:a0088/https://doi.org/10.57554/a0088
体重増加は抗甲状腺薬の副作用ですか。
バセドウ病では甲状腺ホルモンの高値によって新陳代謝が亢進し体重が減少しやすく太りにくくなっています。このため、内服治療により甲状腺機能が改善した後も同じ食事量を摂っているとどんどん体重が増加して太ってしまうことがあります。この時、体重の増加を薬の副作用だと誤って思いこみ、大切な内服薬を中断してしまうことがあります。体重の増加は薬の副作用でなく効果がでてきた証拠であることを説明します。甲状腺機能改善後は体重が増加しすぎないようにバランスのよい食事をこころがけ、運動も併用して注意します。
バセドウ病の内服治療中、ヨウ素はひかえたほうがよいですか。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの素で、生命維持にとって欠かせない必須元素ですので適量を摂取する必要があります。しかし、過剰に摂取すると逆に甲状腺ホルモンの合成・分泌を抑えて甲状腺機能を低下させてしまう性質があります。このため、甲状腺機能低下症ではヨウ素を多量に含んだ昆布や昆布だし(表1)、ヨウ素を含有したうがい薬などは、連日摂取したり大量にとったりしないで、ひかえ目にします。一方、多量に摂取すると甲状腺機能を低下させる作用を利用し、バセドウ病では治療薬として使用される場合があります。バセドウ病で抗甲状腺薬での治療中にヨウ素をひかえると治療効果があがるか、アジア地域の論文を集計し解析が行われましたが、良い影響は明らかではありませんでした。バセドウ病の抗甲状腺薬治療中に厳しいヨウ素制限をする必要はありません。