バセドウ病の治療選択の支援-後編 医療スタッフの立場から

  • 二階堂名奈 Nikaido, Nana
    伊藤病院 看護部 医療相談室 看護師長
公開日:2023年12月11日

はじめに

 バセドウ病には治癒がなく、寛解を目指して治療を行う病気である。バセドウ病の療養は長期にわたるため、患者が継続的に病気と向き合い付き合っていくことが必要となる。そのためには、まず患者自身が病気の正しい知識を持つこと、自らが病気を理解して、治療に参加できるように支援すること、患者本来の社会生活が大きく中断されることがないよう多職種が連携して患者支援をおこなっていくことがポイントとなる。特に、これまで行ってきた治療方法からの変更にあたっては、患者への十分な情報提供を行った上で、患者自身が納得してより適切な治療選択ができるように、職種を超えて患者をサポートすることが必要である。 

1.伊藤病院の医療相談室について

 当院の医療相談室は、患者支援センター内に位置している。看護師5名で構成され、当院の病棟や外来、手術室の勤務経験がある者が配置されている。医療相談室では、患者や家族が安心して治療が受けられるように、病気に対する悩みだけでなく、これらによって生じる社会的、経済的、心理的問題などのさまざまな不安や悩みに対し、診療の補助業務の一環として看護師が相談対応を行っている。患者は「診察室では聞けなかった」「説明されたが頭が真っ白になってしまった」ということがある。相談にあたっては、患者一人一人に耳を傾け、わかりやすい言葉を用いて説明するよう心がけている。
 伊藤病院の医療相談室での相談対応件数は、2022年は合計5,072件であった(表1)。主な相談内容は、病気や治療選択のイメージングのほか、甲状腺アイソトープ検査や放射性ヨウ素内用治療の際のヨウ素制限の説明指導、日常生活や心理面の相談である。医療相談室を利用するきっかけは医師からの依頼が最も多く(表2)、診療の補助業務の位置づけとして活用されているといえる。

表1 伊藤病院の医療相談室での相談件数(2022年)
表1 伊藤病院の医療相談室での相談件数(2022年)

このコンテンツは糖尿病・内分泌プラクティスWebをご購読後にお読みいただけます。

明日の臨床に役立つ時宜を捉えたテーマについて、内分泌代謝・糖尿病内科領域のエキスパートが解説。
毎週論文が更新され、いつでも “オンライン” で日常診療に役立つ情報をアップデートできます。

最新のアップデートに加え、これまでの掲載してきた100論文以上を読み放題です。
この機会に読みたかった論文に加え、気になる特集やセミナーを見つけてください。

■特 集(https://practice.dm-rg.net/main
内分泌代謝・糖尿病内科領域から押さえておきたい選りすぐりのテーマを、エキスパートが徹底解説。

■セミナー( https://practice.dm-rg.net/special
セミナー基礎医学から臨床に役立つ実践的な内容まで、多種多様なコーナーが学びをサポート。

■連 載(https://practice.dm-rg.net/series
独自の切り口と多彩な情報が満載、知的好奇心を刺激する連載。

多職種連携 必携キー・ノート 一覧へ 『1巻6号(2023年 11・12月号)』(発行号ページ)へ

セミナー

連載