糖尿病性腎症患者に対する療養支援
公開日:2024年6月7日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(3): 0044./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(3): 0044.
https://doi.org/10.57554/2024-0044
https://doi.org/10.57554/2024-0044
はじめに
糖尿病性腎症は透析導入原因疾患の38.7%を占め、最多である 1)。また、糖尿病は透析患者の死因の26.4% 1)を占める心血管死の原因とも深く関わり、腎予後・生命予後の観点からも糖尿病治療は重要である。治療経過は長く、薬物療法以外に食事療法、運動療法、生活習慣管理などさまざまな介入を長期間に渡り継続することが必要となる。
本稿では医師、看護師、栄養士、薬剤師などから構成されるチームの糖尿病性腎症患者への療養支援について記載する。
1.多職種介入の必要性
糖尿病性腎症の予防・重症化抑制を目的に、2017年に日本腎臓学会と日本糖尿病学会はSTOP-DKD宣言 2)を採択し、かかりつけ医、専門医、他職種、行政などによる連携の重要性を提示した。糖尿病患者は高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症、肥満など複数の生活習慣病を有することが多く、血糖コントロールだけでなく、生活習慣を含めた集学的な管理の重要性が示されている 2)(表1)。生活習慣病管理は薬物療法、生活指導、食事療法など多職種連携が必要不可欠で、患者指導も含め初期から介入し、長期間にわたり指導を継続していく。また、糖尿病性腎症の初期は自覚症状に乏しく、病識の乏しい患者も多い。教育入院を行い集中した指導、患者教育を行い、行動変容を促すことも有効である。多職種の情報共有が必要であり、多職種カンファレンスで情報共有を、共通認識を持ち介入を継続していく。
