6.治療抵抗性高血圧の管理
公開日:2026年8月13日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2026; 4(4): 0056./J Pract Diabetes Endocrinol. 2026; 4(4): 0056.
https://doi.org/10.57554/2026-0056
https://doi.org/10.57554/2026-0056
はじめに
高血圧は脳卒中、心不全、冠動脈疾患などの主要な心血管イベントの最も重要な修正可能な危険因子の一つであり、その適切な管理は健康寿命の延伸に直結する。近年、降圧薬の進歩やガイドラインに基づく治療戦略の普及により、一定程度の血圧コントロールは可能になった。しかしながら、実臨床においては依然として一定割合の患者で目標血圧の達成が困難であり、特に複数薬剤を用いてもコントロール不良な「治療抵抗性高血圧」は、心血管リスクが高い集団として重要な臨床課題である。
本稿では、治療抵抗性高血圧の定義、成因、診断のポイント、ならびに最新の治療戦略について概説する。
1.治療抵抗性高血圧の定義
治療抵抗性高血圧は、利尿薬を含む異なるクラスの3剤の降圧薬を用いても目標血圧に到達しない状態と定義される。また、5剤以上を用いても血圧が目標に達しない高血圧は難治性高血圧と分類される。
重要なのは、この診断が診察室血圧のみでは不十分であり、家庭血圧や自由行動下血圧測定(ABPM)による評価が必須である点である。いわゆる白衣高血圧や測定条件の不備による「偽性治療抵抗性高血圧」を除外することが、適切な診断の前提となる。
前向き観察研究であるJAMP研究では、ABPMにより診断された真の治療抵抗性高血圧(診察室血圧140/90mmHg以上かつ24時間血圧130/80mmHg以上)は、偽性治療抵抗性高血圧と比較して、心血管イベントおよび心不全発症の独立したリスク因子であることが示されている 1)。この知見は、診断精度の向上がそのまま予後評価に直結することを示唆している。