4.下垂体機能低下症患者における妊娠・分娩・授乳に関する内科的課題
公開日:2024年1月31日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(1): 0005./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(1): 0005.
https://doi.org/10.57554/2024-0005
https://doi.org/10.57554/2024-0005
はじめに
下垂体機能低下症患者では障害されたホルモンに応じて継続的な補充が必要である(表1)。一方で、ホルモンの需要はライフステージやライフイベントにより大きく異なるため、都度調整の必要がある。本稿では妊娠中・出産時・授乳期の女性における課題とホルモン補充について概説する。

1.妊娠に関連した課題と管理
ゴナドトロピン分泌低下症の女性が妊娠するためには、子宮などが萎縮しないよう婦人科でエストロゲン・プロゲスチンの周期的投与などのホルモン補充を行った上で、排卵誘発などの生殖医療を受けることが必要である。下垂体機能低下症の女性であっても、ゴナドトロピン分泌が正常であれば妊娠は通常と同様に成立するが、下垂体機能が正常である女性に比べ妊娠率は低く流産率が高い 1)。近年では、産婦人科・内分泌代謝科・小児科が協同してサポートすることで出産に至る汎下垂体機能低下症の患者が増加している 2)が、本稿で述べるような内科的管理の観点から計画的な妊娠が望ましい。