6.カリウム代謝と緊急症―高/低K血症の鑑別診断と緊急時対応のポイント

  • 菱田吉明 Hishida, Yoshiaki
    聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科 助教
    曽根正勝 Sone, Masakatsu
    聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科 主任教授
公開日:2023年6月15日
No:a0038/https://doi.org/10.57554/a0038

はじめに

 ナトリウムイオン(Na+)が細胞外液の主要な陽イオンであるのに対し、カリウムイオン(K+)は細胞内液の主要な陽イオンである。全身のK貯蔵量は約3,000mEq(50~75mEq/kg体重)であり、細胞内にはこの約98%が存在することになる。細胞内K濃度は約150mEq/L、また細胞外は約3.5~5.5mEq/Lであり、この濃度勾配が細胞の静止膜電位の最重要形成因子である 1)。これは細胞膜に存在するNa-K-ATPaseにより、能動的に細胞内へ2つのK+を取り込み、細胞外へ3つのNa+を放出することによって成立している。静止膜電位は正常な神経・筋の機能に不可欠な活動電位発生に寄与しており、細胞外K濃度が低くなると静止膜電位はより陰性になり(=過分極)、細胞外K濃度が高くなると静止膜電位は陰性が減弱する(=脱分極)。この変化に最も影響を受ける臓器は筋肉と心臓であり、低K血症と高K血症は共に麻痺、痙攣、あるいは致命的な不整脈を引き起こし得る。ここではその診断と緊急時の対応について述べることとする。

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