≪Ⅰ 運動とホルモン環境の変化≫ 3.スポーツと骨代謝関連ホルモンとの関連
公開日:2024年5月30日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(3): 0037./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(3): 0037.
https://doi.org/10.57554/2024-0037
https://doi.org/10.57554/2024-0037
はじめに
最近の一連の研究では、骨が自身からのホルモン分泌を介して全身の対処に影響を及ぼす内分泌臓器としての位置が確立してきている。骨由来の4種のホルモン、オステオカルシン(osteocalcin:OC)、リポカリン2(lipocalin 2:LCN2)、スクレロスチン(sclerostin:Scl)、fibroblast growth factor 23(FGF23)が心血管機能に影響を及ぼし、2型糖尿病(type 2 diabetes:T2DM)や心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)など種々の代謝性疾患の発症に関与するとの報告がみられる。
1.心血管系への影響
骨はその構造と強度に基づき、身体の保護や運動のための起点としての役割を担うと考えられてきた。しかし最近の研究では、内分泌臓器として種々のホルモンを分泌し、全身の代謝に影響を及ぼす臓器として捉えられている 1)。骨由来のホルモンによって調節を受ける全身機能として、OCによる糖/エネルギー代謝、男性の生殖能力、脂肪沈着、骨格筋代謝および認知機能、LCN2による食欲制御などが挙げられる 2)。