6.CKD合併高血圧のマネージメント(生活習慣修正)
公開日:2024年4月23日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(2): 0023./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(2): 0023.
https://doi.org/10.57554/2024-0023
https://doi.org/10.57554/2024-0023
はじめに
食塩制限は栄養指導の中でも最も基本となるところであり、多くの慢性腎臓病(CKD)患者は食塩制限を指導されている。CKD患者にとって食塩制限は非常に理にかなっていそうだが、臨床研究に裏打ちされたエビデンスはどの程度あるのだろうか。2023年に日本腎臓学会による「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」が発行されたが 1)、筆者は「CKD患者への食塩制限は推奨されるか?」に対するステートメントに対してシステマティックレビューの取りまとめを担当させていただいた。本稿ではCKD患者の高血圧管理に関して、食塩制限を中心に概説したい。
1.食塩制限 ―Salt(食塩)と Sodium(ナトリウム)
まず基本的なことではあるが、用語の確認である。「Salt(食塩)」 と「Sodium(ナトリウム)」は異なる。日本では通常「Salt(食塩)」と表記されるが、英語では「Sodium(ナトリウム)」と表記されることが多い。例えば英語表記で「Dietary sodium should be restricted to no more than 3g per day.」とあった場合に「食塩摂取は3g/日未満」と誤解する医師は少なくない。「Salt(食塩)」 と「Sodium(ナトリウム)」は表1のように換算されるわけで、この英語表記は「食塩摂取は7.5g/日未満」ということになる。
この誤解を避けるため、ガイドライン中では「塩分」や「減塩」という用語は使用せずに、「食塩」(すなわちNaCl)や「食塩制限」で統一することにした。
